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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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気は進まないがマリンの感じた嫌な気配の方にと向かって歩く。日が落ちて暗くなってきた頃合いのため視認できる範囲が狭く、周囲に細心の注意を払って進んでいくと血に濡れ倒れる男数名と、血濡れの少女二人が身を寄り添っていた。恐らく彼女たちが目の前に倒れる男達を倒したんだろう。

にしても、この世界の少女はこんなに強くないといけないのか?マリン然りこの子達然り化け物クラスがいないといけないのか?その化け物じみた力を俺にも分けてくれや…。もう少しだけでいいから俺もちゃんと活躍したいって。そんなことをひとり心の中で呟いてる時ルナベルが前に一歩前に進み彼女たちに話しかける。

「この男の人達は君たち二人が?」

「く、来るな!」

「大丈夫よ私らはあなた達に危害を加えるつもりは無いから。」

「そんなの信用出来るもんか!!」

その瞬間寄り添い合う二人を中心に突風が巻き起こる。恐らくこの風によって倒れている男たちはやられたのだろう。その風の危険性をルナベルの直感が知らせてくれ、すぐにマリンを胸元に引き寄せ彼女らを背にし風から守る。油断していたミナルはその風によって踏ん張れず後方に飛ばされ大木に背中を打ち付ける。

「……ふぅ。今のは風魔法の一種ね?」

「……だ、だからなに!?」

「突風を巻き起こし自身から離れる事に威力が増していき、遂には真空刃となり対象の体を切り刻む、そんな魔法ね」

「騎士のくせして魔法について詳しいのね」

「まぁ、仕事柄覚えないといけなかったりしたからね。」

「けど、魔法の説明した程度じゃ私らはアンタらを信用しない!」

「それもそうね。なら、これで信用を得れるかしら?」

そういいマリンから離れ少女達に一歩近づき腰を下ろす。そして左手の小手を外し、素手を見せたかと思えば今度は腰に当てた緊急用の刃渡りが小さなナイフを取りだし、そのナイフを右手に持ち次の瞬間素手の左手の甲目掛けてナイフをおろす。

「!?」

「……っ!!」

「ル、ルナベルおねーちゃん!?な、何してるの!!!」

「……はぁ。どお?こんなことしてまであなた達と『ただ』話そうとした人は今までいたかしら?」

「………う、ううん。」

「そう。」

「そ、そこまでしてなんで私らに話を……」

「後ろにいる子が嫌な気配を感じたって話しててね。その正体を知りたかったの。」

「………。分かった。ここで何があったかは話してやる。けど、それまでだ。」

「え!?は、話しちゃうの!?」

「いいから私の言うことを信じな。」

後方に吹き飛ばされたミナルを呼んで、少女二人の話を聞くことにした。

「な、なんで俺だけあんな吹き飛ばされた?」

「鍛え方がなってないのよ。」

「超人と凡人を比べられましてもねぇ?

てか、その手の傷はどうしたんだよ?あの僅かな時間で何した?」

「すぐに分かるから黙ってなさい。」

「まずは、先程の無礼講をお許しいただきたい。私らも”こんなこと”があった直後だったから警戒せざるを負えなかった。」

「別に構わないわ。被害はゼロだからね。」

「あのー……俺思いっきり吹き飛ばされたんですけど………。」

「生きてるんだから実質被害ゼロよ。」

「えぇ………。」

「それで、ここで何があったか。それを簡潔に話すとその辺に転がってるのは『人攫い』を仕事にしてる人物達だ。」

「奴隷商人の差し金か?」

「私らにはそこまでは分からないが、恐らくその類なんだと思う。」

「狙われた理由は?」

「……多分『妖精族』だからだよね?」

「………まぁ、そこの娘が言うようにそれが理由じゃないかな」

「嫌な予感ってのはまさかその奴隷ってやつか。」

「私達は最初話し合いで事を収めようとしました。けど、相手はこちらの話を聞くことなく力で解決しようとしました。」

「だからまずは警告として風魔法のランクの低いもので吹き飛ばし脅しに使った。」

「でも、それがいけなかったみたいで相手はすぐ刃物を取り出しこちらに襲いかかってきた。」

「私らは自衛のために戦い、そして命を守るためにここにいる人たちを…」

「……そう。それは辛かったわね。」

「……ねぇルナベルおねーちゃん?」

「ん?」

「私達なにか出来ないのかな?」

「そうねそうしたいのは山々だけど、マリンちゃんが当てた通り妖精族なら、私らは介入したくても出来ないわ。」

「アレか、妖精族の掟みたいなやつか。」

「でも、そうだとしても二人ともこんな怖い思いしてそれが今回だけで終わるとは思わないよ。」

「……お前達は何故私らの問題に首を突っ込もうとする?余計な情で気を引きたいのか?」

「私はぶっちゃけてしまえばあなた達妖精族を一目見たいだけだけど、多分マリンちゃんはそんな邪な考えは無い。」

「私は同じ奴隷商人って人達に騙されて何年か過ごしてきた。そこの暮らしはとっても辛かったの。二人にそんな苦しい経験させたくない。」

「……。なぁ、二人とも?

俺らは人間で妖精族からすれば忌み嫌う存在かもしれないが、この奴隷商人の問題だけは俺らも協力させてくれないか?」

「…………。分かった、私らで族長と掛け合ってみる。その為に三人とも来てくれるか?」

「……うん!!」

「じゃあ軽く自己紹介でもしながら向かおうか。」

「俺はミナル。このパーティーのリーダー枠の人間だ。」

「私はルナベル・アルトラルト。元血気騎士団第二部隊隊長で、今は冒険者をしてる。」

「私はマリン!ミナルお兄ちゃんに助けて貰った元奴隷!二人をあんな辛いとこになんか行かせないからね!」

俺が強いんじゃなくてお前らが弱くて仲間が強いんだ

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