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いつものアラームが鳴って、お客さんが帰ったのを知らせる。

もしかして?

私は慌てて部屋番号を確かめた。

403、間違いないあの部屋だ。


「じゃ、私行ってくるから、その間に次が空いたら未希さんね」

「うん、いってらっしゃい」

「…にしても、このお客さん、早いなぁ、まだ1時間しかたってないのに」

「あっちが早いんじゃない?」

「えー、マジで?つまんない男ですよね?そんなの」


絶対不満が残るわとか言いながら、台車を押して出て行った。

私は裏口から出て駐車場へ向かう。

バタンバタンとドアが閉まる音がして、赤い軽自動車が出てきた。

慌ててスマホで写真を撮る、目の前を通り過ぎる時に助手席側を、後ろからはナンバーを。

フラッシュがついたけど、ホテルの明るすぎるくらいのネオンでは気づかなかったようだ。


従業員控室に戻り、写真を拡大する。

『27-31』ピンぼけしてたけどそう読める。

助手席側には、軽くシートを倒して身を沈めるように男が乗っていた。

スマホを開いたらしく、顔が明るくわかりやすかった。

無表情の健二だった。


おそらく、私が綾菜に告げ口したかもしれないと思って慌てて出てきたのだろう。

そしてスマホには綾菜からの着歴とLINE。

内容を確かめるまでは気が気じゃないだろうな。


写真を確認しているとまた、アラームが鳴って清掃の時間だ。

501。

このホテルで一番の、いわゆるスィートルーム。

屋上の露天風呂と、部屋には螺旋階段がある。

ソファセットも8人くらいは座れるし、明るくリゾートホテルのような部屋だ。

ベッドはキングサイズ。

最近では、女子会をこんなところでやったりもするらしいけど。

もちろん価格も通常の部屋の5倍はする。

そして清掃代金も5倍。


よしっ!

頑張ってきますか。

ニシちゃんにLINEして、501に行ってくるからよろしくと告げた。


エレベーターで上がり、部屋へ入る。5階にはこの部屋だけ。

バスルームには赤いバラの花びらが散らかっていた。

何かの記念日だったのかな?なんて考えてみる。


記念日か。

結婚記念日と離婚記念日、どうやってお祝いしようか?

健二をとっちめてやりたいけど、綾菜を傷つけたくはない。

さて、どうしよう?

せかせかと清掃しながら考えていた。


その頃、403の清掃を終えて控室に戻ったニシちゃんは、忘れ物らしいフラッシュメモリを持ち帰っていた。


「なんでこんな大事なもの忘れるかなぁ?こんなところに」


きっと仕事のものだと思われる。

仕事してるふりしてパソコンを持ち込む人も多い。

日付と部屋番号を書いて、忘れ物預かり箱の中へ入れた。





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