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ガソリン 近道 保志


「待てーーー! コラ―――!! あんた誰だーーーー!!」


ガソリンがぶちまかれた通路を俺は男を追いかけていた。徹くん! 無事でいてくれ!!

「ゼエ、ゼエ、ハア……徹くん……」

もう、何がどうなってやがるんだ!徹くんをどうするつもりなんだ! きっと、ポリンクは重かったからそんなに遠くへは行っていないだろう。 ちくしょう! 一体ここはどこなんだよ! 道に迷った……。


缶詰だらけの貯蔵庫から出た俺たちは、扉から出た奴を追ったが、男はいきなりポリタンクのガソリンを狭い通路にぶちまけた。それから姿を忽然と消したんで、急いで貯蔵庫へ戻ろうとしたら、途中。今度は徹くんの叫び声が辺りに響き渡って、男に連れ去られた。俺は仕方なく奴を追いかけたんだ。俺は身体をやっとのことで捻じ込みながら狭い通路を歩いていた。息苦しくて、なんだかネズミの気持ちが少しだけわかった気がした。天井も低くて、頭擦れ擦れで、何もかも金属でできた通路だった。暗くて……心細いよ……。これは、さっきまで走っていたが手探りで進むしかないな。

徹くんは無事だといいが……。

トンネルの隠れた扉の中は全部、貯蔵庫だった。ちょっと目を離すと見えなくなってしまう取っ手が付いている。狭い通路からトンネル内に出てしまうと、たちまち工場扇の強風で叩き潰されるし……。 徹くんは無事なんだろうな?

あのガソリン男は? もし……徹くんの身になにかあってみろ! 必ずこれでもかって殴ってやるぜ!

一体あの男は……? まさか、ここに住んでるんじゃないだろうな? だから、ここの通路に詳しいんだろうか?

うん?

あれ……?

こっちの隠れた扉はガソリンの臭いがかなり強いな。

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