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#ざまぁ
「…りゅ、竜牙さん落ち着いて…っ」
俺は半ばパニックになりながら、縋り付いてくる竜牙さんの広い背中を夢中で撫で続けた。
こんな竜牙さん、初めて見る。
いつだって余裕があって
揺るぎない包容力で俺を包んでくれて、感情的になる俺を優しく宥める側だったのに。
今は、立場が完全に逆転していた。
「わ、別れないから。絶対別れない。だから……お願いだから、落ち着いて」
「…っ、ぅ……」
竜牙さんは俺の肩に顔を埋めたまま、嗚咽を堪えるように小さく息を飲む。
その逞しい体が、子供のようにガタガタと震えているのが手のひらから伝わってきた。
過呼吸になりかけているのか、肺に上手く空気が入っていないみたいだ。
「ごめ…んっ、俺、……っ」
「…っ」
もう、頭の隅にあった「俺たち合わないのかも」なんて迷いは、一瞬でどこかへ吹き飛んでいた。
だって。
こんなにも、ボロボロになって取り乱すほどこの人は俺のことを求めてくれていたんだ。
俺の存在が、ここまで狂わせるほど、愛してくれていたんだ。
しばらくの間、赤ん坊をあやすように背中を撫で続けていると
やがて竜牙さんの激しい震えが少しずつ収まっていった。
俺はゆっくりと、彼をソファに座り直させる。
竜牙さんは俯いたまま、大きな両手で目元を覆い、必死に呼吸を整えていた。
「……すまない」
掠れた、震える声。
「……見苦しいところを見せた。取り乱した」
「いや……俺の方こそ…ごめんなさい」
沈黙。
リビングを満たす空気は相変わらず重たかった。
でも、これまでの刺々しい気まずさとは、決定的に違っていた。
逃げることも誤魔化すことも許されない。
今の俺たちには、本当の意味で「向き合う」ための静寂が必要だった。
俺は少し迷ったあと、膝の上で自分の指を弄りながら、静かに、だけど真っ直ぐに聞いた。
「……ねえ竜牙さん…ずっと隠してる理由、今話してくれない…?ちゃんと聞くから」
竜牙さんの肩が、ぴくっと揺れる。
数秒、あるいは数十秒。
時計の秒針が刻む音だけがやけに大きく聞こえる沈黙の後、彼はぽつりと、独り言のように呟いた。
「……俺さ」
低い声。
いつもよりずっと弱くて、今にも消えてしまいそうな響き。
「昔から……この、無駄にデカいガタイのことで、ずっとからかわれてきたんだ」
「……え」
「筋肉質すぎて可愛げがないとか、男らしすぎて威圧感があるとか。高校の時なんかは、特にな」
俺は何も言わず、ただ彼の言葉を拾い上げるように聞き続けた。
「……ゲイっていう、ただでさえ少数派の性質を持ってるのに、見た目までこんなだろ。野獣みたいだって気味悪がられることもある」
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