テラーノベル
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狼ゲームが終わって、もう2ヶ月
俺は最終日を思い出していた。
ミサキさんは俺を庇うために死んでしまった。
リンタロウは俺のせいで最愛の姉を失ってしまった
リンタロウもその後は行方不明だ。
俺のせいでまた…不幸にしてしまった…
ミサキさんが飛び出す前に俺が飛び出していたら
ミサキさんは助かっていただろうか?
そして、リンタロウと一緒に平穏に
暮らしていただろうか?
俺が助けれなかったせいで…
ふっとトモヤ君の顔が浮かんだ。
…そうだね。君も助けれなかったね…
焼けていく建物を鮮明に思い出す。
そして俺は強く願った。
今まで助けれなかった人たちを助けたい…!
願った瞬間、目の前が眩しく光り
俺は気を失った。
「ユキ…リ…お…て!」
んん…あ…れ…?懐かしい声…でもいるわけ…
「ユキナリくん!」
「ぅえ!?」
突然名前を呼ばれ目を覚ますと目の前には
トモヤ君がいた。
なんで?夢なのかな…
「ユキナリくん?どうしたの?急に寝ちゃったけど」
「う、ううん!なんでもない!ちょっと昨日あんまり寝れなくてさ…」
「そっか!あ、そうだ今日は何して遊ぶ?」
「じゃあ僕の家でゲームしよ!」
「うん!」
なんか一人称が僕になってるけど…この際どうでもいいや
それよりもなんでこうなったんだ…?
もしかしてだけどネットでいう逆行ってやつ?
アニメや漫画みたいな展開だなぁ…
…自己満足でも夢でもいい。みんなを助けるんだ。
僕はそう決意した。
小学校の授業はスムーズに終わった。
まぁ…大学行ってるやつが小学校の問題を
解けないのは問題だが…
そして放課後、僕は居残り勉強をしていたが
すばやく終わらせ待っているトモヤ君のもとに走った。
すると…トモヤ君がいじめられていた
展開早いな…
まだ怖い…けど…助けるんだ…!大丈夫だ…
「トモヤ君から離れろ!」
自分とは思えないほど大きな声を出した。
トモヤ君はすぐに反応をして
「ユキナリくん…なんで…きたの…?」
と言った。
なんと返そうか、少し迷ってしまったが
「友達を…見捨てる訳ない…だろ…!」
A「お前にも友達いたんだな〜。
俺達も〜アイツと遊んでいいよなぁ〜?」
Aのとりまきたちが僕を取り囲む。
「やめろ!ユキナリくんには手を出すな!」
いじめっ子たちの気がトモヤ君に向いた瞬間に俺は
「せんせー!!!!!
トモヤ君がいじめられてます!!!!!」
と叫んだ。
「お、おい。先生来るんじゃね?
お、俺はもう帰るよ。じゃーな、」
次々にいじめっ子たち帰っていき最後に残ったAが
「今日のことは誰にも言うなよ!!」
と言って走り去った。
ふぅ…と一息つくと
「よかったぁ…ユキナリくんに怪我させたりするかと思った…」
「あはは…でも僕はトモヤ君を守れたなら怪我してもよかったけどね」
思ったことを素直に伝える。
トモヤ君は少し顔を赤らめて
「ありがと…ユキナリくんが離れていくんじゃないかって不安だったんだ…」
この言葉に胸が痛む。僕は1度君を見捨てて殺してしまったから
今回は助けることができた。許されるとも思っていないし
忘れることもできないけれど、少しだけ心が軽くなった気がした。
トモヤ君を助けて数年。
俺達は今も友達…いや親友だ。
助けれる人がいれば助ける。それを続けていた。
たまに怪我をしてトモヤ君を心配させてしまうが。
そして今日はあの事件の日だ。
意を決して俺は電車に乗り込んだ。
車内を見るとリツさんとタクヤさんらしき人が
既に乗っていた。
次の駅でユウヤがその次の駅ではリンタロウ達が乗ってきた。
そして、1駅すぎた頃…ユウヤが動き出した。
ブツブツと何かを言いながらナイフを握りしめている。
俺は
「危険です!隣の車両に移ってください!」
と叫んだ
リンタロウとミサキさんはユウヤの姿に怯えて動けないようだ。
するとユウヤが俺に向かって
「お母さんとの時間を邪魔するなぁぁぁ!!!」
と言いながらナイフを振り下ろしてきた。
俺は避けるでもなくナイフを受けた。
ナイフは腹を突き刺していた。
そして…ユウヤを抱きしめた。
「だい…じょ…ぶ…だよ…きみを…きずつけ…る人…は…いな…い…から…あんし…ん…して…いいん…だよ…..な…いても…いい…んだよ…」
途切れ途切れになりながらユウヤを救うことができると考えた言葉を述べた。
「ほんとに?」
「ほん…と…だよ」
「うぅ…お母さん…お母さん…?あれ…お母さんじゃない…」
泣きじゃくりながらユウヤは自分がしようとしていたことを理解したようだった。
安心していると目の前がボヤけてきた。
急所…ではないと思うが出血量が多い。
あぁ、このまま死ぬのかな…トモヤ君はリンタロウを助けれてよかった…
と思いながら俺は意識を失った。
目が覚めると白い天井が見えた。
あれ、俺死んでない…?
自分の状況がわからず困惑していると
「ユキナリくん!」
とトモヤ君の声が聞こえた。
「もう…今回は目を覚ましてよかったけど、今度からは
こんな無茶はしないでよね!」
「う、うん…自信ないけど…」
「ん?まぁいいや…あ、君もユキナリくんに話がある
って言ってたよね。
俺がいても話しずらいだろうししばらく出てるね
ユキナリくんまた、あとでね。」
あれ、トモヤ君以外に誰かいたのかと思い見てみると
黒髪ではあるが幼いリンタロウがいた。
「あ、はい。ありがとうございます。」
パタンと扉が閉まる。
「えっと…まず、助けていただいてありがとうごございました。」
「い、いや!俺が勝手にリン…君のことを助けただけだから
そんなお礼なんて…」
危ない…まだリンタロウは自己紹介していないのに
リンタロウとよびそうになった。
「いえ!今僕達の家族が全員無事なのはユキナリさんのおかげです!
このことは感謝してもしきれません…!」
「…そんな、かしこまらなくていいんだよ?
タメ口でいいし、友達と話すみたいな感じでいいから!」
「で、ですが…」
「お願い!」
「わかりま…わかったよ…」
「ありがとう!」
うん。やっぱりリンタロウはこうだな。
「1つ聞きたいことがあるんだけど、なんで僕達のことを助けたの?」
いきなりそこか…
「…なんでって…俺が君たちのことを助けたいと思ったから。
それだけだよ」
うん。嘘は言ってない。
「そうなんだ…自分が死ぬかもしれないのに
すごい勇気だね。うらやましい…」
「そうでもないよ。あのときすごく怖かったよ」
「そういう風には見えなかったけど…
まぁそういうことにしておいてあげる♪」
こうして助けれなかった人達は助けることができた
それから数年後俺はバイト先でコウさんとであった
そのバイト先は狼ゲームで出会った人たちもよく出入りをしている店だった。
初めはみんなに会えたことで泣きそうになった。
そうそう!トモヤ君、リンタロウ、ミサキさんもバイトに来るようになったんだ!
シフトが重なるとその人と一緒に帰ったりして楽しく過ごしている。
だが最近トモヤ君、リンタロウ、コウさんの様子がおかしい。
ミサキさんに聞くと家でもリンタロウの様子がおかしいと言っていた。
なんなんだろうか…
モヤモヤしているとリンタロウの家に呼び出された。
行ってみると、トモヤ君やコウさんもいた。
そして、リンタロウが
「ユキナリくん。君に僕達の思いを伝えに来てもらったんだ♪」
…意味がわからなかった。どういうことだ?
思い?なんの思いだ?
緊張する空気の中ではコクリと頷くのが精一杯だった。
「まずは俺から」
最初はトモヤ君のようだ。
「ユキナリくん。俺はユキナリくんが大好きだよ。初めて会った時から…一目惚れだったんだ。」
え、思いってこういうことですか…マジかよ…
「じゃあ次は俺…だな」
2番目はコウさんか…
「お前とバイトが一緒になってすごく嬉しかった。
とても満たされた気持ちになったよ。今度は俺がお前のことを満たしたい。」
なんかすごく恥ずかしいこと言ってるなぁ…
「じゃあ最後は僕だね♪」
リンタロウ1番よくわからない…
「あの電車でユキナリくんが助けてくれなかったらきっと
お母さんやお父さんは死んでいたよね。改めて言うよ。
助けてくれて本当にありがとう。でもあの時は
死にかけるほどの怪我をしたよね。だから僕が
ユキナリくんを絶対守ってあげる!」
「「「俺と(僕と)付き合ってください」」」
「うーん…どうしよう…」
さっきリンタロウ、コウさん、トモヤ君に告白されたんだけど…
あの3人の誰か1人を選ばないといけないのか…
うぅ…頭が痛くなってくる…
「あれ?ユキナリくん♪」
この声は…
「ソウシロウさん!」
「久しぶりだね♪」
この人は神崎ソウシロウさん。
警部さんなんだ。
ソウシロウさんとの出会いは今のバイトをする前に
バイトをしていた花屋さんで出会った。
色とりどりの花たちと10分ほどにらめっこをしていた。
話を聞いてみると
「部屋が寂しいから花でも飾ろうかな♪
って思ったんだけどどれがいいのか
迷っちゃってさ♪君が声をかけてくれて良かったよ♪
君のオススメ教えてくれる?」
マイペースな人だと思ったがとても優しい人に見えた。
「はい!今日のオススメはブルーデイジーと
ポーチュラカです!あ、ピンクのカーネーションも
ですね。」
(作者からユキナリくんがこの花を選んだ意味は
最後のページで紹介します!)
「へぇ…こんな花もあるんだね♪
じゃあコレ5本ずつ買うね♪」
これが始まり。
それからソウシロウさんは頻繁に花屋に訪れるように
なった。親しくなっていって友達のようになっていた。
都合が合えば遊びに行ったりした。
途中で警察からの呼び出しがあってお開きになったり
一条ツバキさんと一緒飲み(烏龍茶)に行ったり
なかなか楽しかった。
最近は忙しいようでなかなか会えなかったんだよなぁ
思い出を思い出していると
「難しい顔してるけど大丈夫?悩み事?」
と聞かれた。
「は、はい…ちょっと3人の友達だと思ってた人に
告白されちゃって…」
ソウシロウさんの顔が固まる。
「ソ、ソウシロウさん…?」
真顔になり
「迷ってるの?」
と聞いてきた。
「は…い。みんな大切な友達だと思っていたので」
ソウシロウさんは急に顔を近づけ、耳元で
「迷ってるなら…僕にしなよ…」
と囁いた。
「っ…..///」
いきなりのことにびっくりして思わず距離をとってしまう。
多分今の俺の顔は真っ赤だろう
「さすがに距離とられると傷つくなぁ〜」
「あ…ご、ごめんなさい…」
「まぁ…顔が真っ赤でとっても可愛いけどね」
ソウシロウさんはまた顔を近づけてきて
ニヤリとした。
「も、もう!冗談やめてくださいよ!」
「え〜♪状況なんかじゃないよ♪」
からかっているのだろうか…それとも…
…ますます頭が痛くなってくる…
え、俺はリンタロウ、コウさん、トモヤ君、
ソウシロウさんの中から1人を選ばないといけないのか?
頭を混乱させていると、
「返事は君の心の整理がついたらでいいよ♪
じゃあ僕は行くね♪バイバイ♪」
俺はソウシロウさんの背中を見つめながら
誰を選ぶか決めた。
4人の中から誰かを選ぶと考えた瞬間
1番最初に頭に思い浮かんだ貴方。
「よし…明日リンタロウとコウさん、トモヤ君を
呼ぶとして…ソウシロウさんはどうかな…
都合が合うといいな…」
心に決めた貴方の姿を思い浮かべて俺は帰路についた。
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