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俺は立花湊、俺は昔から動物に好かれやすい。
体質なのだろうか、あるいは匂いなのかはわからない。
でも嫌な気はしないから特に気にしてはいなかった。
肩に猫を乗せて、頭の上には鳥を乗せて歩く、もちろん後ろからは動物の行列。
すると帰り道の途中、湊は突然、白い光に包まれた。
数秒――いや、数分経ったのだろうか。
「こ、ここは……!?」
見渡す限り、見覚えのない場所。雲の上――?
そよ風も、匂いも音も、俺がさっき買ったパンも、天候さえも存在しない、ただ真っ白な空間が広がっていた。
「初めまして」
どこからか、優しい声が降ってくる。俺の母親のように。
声のする方を見ると、白い衣を纏った女性が立っていた。
――湊でも、この人が人間ではないと直感できた。
「あなたは……神様?」
思わず口に出す。
女性は微笑み、うなずいた。
「そうです。あなたには、特別なスキルを授けたいと思います」
「スキル……?」
湊の頭は混乱でいっぱいだった。
「はい。あなたが生まれ変わる世界で、ある力を持ってほしいのです」
「どうして…?」
「あなたは選ばれたのです」
それだけ言うと女性の手が光を帯び、湊の胸に触れる。
――暖かい光が体中に広がる。目を閉じて耐えていると、意識がふわりと飛んでいった。
気がつくと、湊は草の匂いと風の感触が心地よい森の中に立っていた。
「ここが……新しい世界?」
辺りを見渡すと、見たこともない植物や小動物が、どこか温かい目で湊を見ている。
その瞬間――
「……ふふ、お前、いい匂いだな…」
後ろから声がした。
振り返ると、銀色の毛並みをした狼獣人が立っていた。黄色い瞳がじっと湊を見つめる。
舌なめずりをして、悪い笑みを浮かべるその顔は狙っているようにも見えた。
そして次の瞬間、森の奥からも、他の獣人、エルフ、魔物たちまで――まるで歓迎するかのように湊に近づいてきた。
「は、はぁ!?ど、どう言うことだよ!」
思わず口を押さえる湊。
頭のの中から女性が話しかける声がした。
――あなたには「人外友好」のスキルを授けました。
湊はまだ半信半疑だったが、どうやらこのスキル――
「人外に異様に好かれる能力」は、本当に効果を発揮しているらしい。
これから、湊の奇妙でにぎやかな冒険が始まるのだった。