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数日が経ち、定期的な体重測定の日になった。
「涼ちゃん、今日も体重計に乗ろうね」と看護師がやさしく声をかける。
でも、表示された数字は前回とほとんど変わらない。むしろ、わずかに減っていた。
「……やっぱり、なかなか増えないわね……」
記録用紙に数字を書き込み、もう一人の看護師と目を合わせる。
「ご飯はちゃんと食べられている?」
「うん……」
涼ちゃんは小さくうなずくが、
心の中ではなんとなく重荷を感じていた。
廊下では、担当の看護師たちがひそひそと話している。
「摂取カロリーも足りていないかもしれません」
「本人、食べるのも辛そうだし……吐き気も多いから……」
「このままだと治療にも影響が出ちゃうよね。どうしよう……」
みんな本当に涼ちゃんのことを心配している。
「次の栄養カンファレンスで、もう一度先生たちと相談しましょう」
「うん、それがいいね」
誰も涼ちゃんを責めたりせず、小さな体をそっと守るように、
やさしくベッドに毛布をかけてくれる。
ベッドの中で、
涼ちゃんは天井を静かに見つめた。
(ただみんなに迷惑をかけたくないだけなのに――
どうすれば…ちゃんと、体重って増えるのかな……)
そんな悩みと、
周りが自分を心配してくれる温かさに、
小さな胸がきゅっとなった。