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第56話『雷の試練 ― ゲズ、魂の深淵へ』
🏛 ゴッドエデン・試練の間(ゲズの領域)
黄金の光に包まれたゲズの身体は、ゆっくりと意識の闇へと引き込まれていった。
目を開けると、そこは無限に広がる黒い大地と雷鳴だけが響く空。
「……ここは?」
誰もいない。
だが、空から雷が降り注ぎ、地面を焼き焦がす。
その中央に、ひとりの“影”が立っていた。
⚡ ゲズの幻影 ― もうひとりの自分
それは、かつてのゲズ。
村で“化け物”と呼ばれ、孤独に震え、誰も信じられなかった少年の姿。
だが、その目は冷たく、強く、どこかゲズ自身よりも“覚悟”を帯びていた。
「お前は、まだ迷ってる。」
幻影のゲズが言う。
「サタンが迫っているのも、お前が“まだ中途半端”だからだ。」
ゲズ「……!」
「もっと早く力を手にしていれば、救えた命があった。
地球も、リオンも――」
幻影の言葉に、ゲズの胸が締めつけられる。
(……俺のせいで? 俺が、足りなかったせいで?)
⚡ 責め立てる声、心の裂け目
突如、黒い稲妻が走る。
空からは、次々と“過去の声”が降り注いだ。
「近づくな、化け物!」
「お前のせいで、あの子が……!」
「雷なんて、災いしか呼ばない!」
ゲズは耳を塞ぐが、声は消えない。
少年の頃、村人たちに恐れられ、憎まれた記憶が――心を切り裂いていく。
「違う……俺は……!」
⚡ 雷の嵐、記憶の中の母の声
視界が白く染まり、嵐の中心から、一つの光が差し込んだ。
それは、母の記憶。
「強くなれって意味はね……誰かを守れるように、ってこと。」
その言葉が、心の奥から蘇る。
幻影が静かに言う。
「……守るって、どういうことだ?」
ゲズは震える手で胸を押さえた。
「俺はもう……独りじゃない。」
「リオンが、セレナが、ウカビルが……みんなが俺を信じてくれた。
俺は……信じ返したい。だから、前に進むんだ!」
⚡ 試練の頂点 ― 雷の咆哮
天が割れた。
黒い空が真っ白に染まり、ゲズの全身から眩い雷光があふれ出す。
幻影のゲズは、静かに微笑んだ。
「……なら、行け。今度こそ、本当の“雷”になれ。」
そして、幻影は消えた。
ゲズの内側で、雷が一つになる。
⚡ 雷の紋章 ― 新たなる覚醒
ゲズの胸に、雷を象った紋章が刻まれる。
「……ありがとう、母さん。俺、ようやく……自分を信じられたよ。」
光が彼を包み、現実の神殿へと還っていく。