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もらる「―――だって、僕が優しくしたいんだよ。…好きだから」
ころね「………え?」
いきなりの事で頭が追いついていかない。怒られる事したのに怒らないで謝ったり、それどころか優しく接してくれる。『好き』…?、なんでそれだけで優しく接してくれるの?ねえ、なんで…?”お兄ちゃん”
『好き』なんて言葉はいつも擬物(マガイモノ)で偽善を装うための言葉で、そんな事を本当に思ってくれてる人なんている筈無くて、たったそんな事だけが優しくする理由なわけ無くて、いつも希望しては壊されて…そんな毎日が嫌だった。そんな生き方が嫌だった。いつも、言うとおりに出来なかったら殴られて「悪い子だ」「この役立たず」と罵詈雑言を言われてきた。
――その内、『もう自分として生きることを諦めよう。』そう思ってしまった。ただ言うことだけを聞くようにしよう。それが元のあたしだった。だから、前の飼い主に捨てられた時は悲しみと疑問しかなかった。それから、ずっと考えた。誠実で吠えなければ拾ってもらえるのだろうか。そんな事を何日も考えているある日、雨が降って来た。その日、あなたが…お兄ちゃんが拾ってくれた。
あの日、ころねと出会ったあの雨が降っていた日、本当は家に帰りたくなかった。どうしても家に帰るとあの子…”恋雪”との思い出が脳裏に蘇ってしまうから、辛くなるだけだったから…でもそんな時にころねと出会った。
茶色のその子犬が、何故か僕同じに見えた。心が締め付けられているように見えた。だからだろうか、理由もなくこの子を引き取ったのはそれが理由だったのか。でも、その考えが違うのは数日間過ごしてすぐに気づいた。無自覚にころねの行動を観察したり、喜んでる顔を見るとこっちまで嬉しくなったりしている自分に気づいた。
…その度に”小雪”のことを思い出す自分にも気づいた。
でも、その記憶がいつもと違うことに気づいた。いつもだったらただ辛い記憶がころねとなら楽しい記憶になっていることに気づいた。その時に初めて僕の中のなにかが変わった。今までの自分には無かった”何か”を掴んだ。今ならその”何か”が分かる。
―――ただ守りたいという感情からきた純粋な決意だ。
自分でも驚くぐらい他の気持ちなんか微塵も混ざっていないそれは、こうやって大切な人を守るために使うことが出来た。やっと、自分の力で大事な人を守れるようになった…ころねはそんな事気づいてないだろうけど。
『『…でも』』
決意を抱いている中で僕は、やっと理解出来た。/お兄ちゃんの優しさに触れて、守られて、失いたくないと思って、今、やっと分がった。
僕はころねが好きだ!!/あたしは…こぉねは、お兄ちゃんがもう大切で、どうしようもなく大好きだ!
自分の頬を透明な液体が伝うのが分かる。それと同時にお兄ちゃんの焦っている顔が見えた。
もらる「ごっ、ごめん!いきなり言われたら戸惑うよね!?(汗)」
…もう、優しすぎるよ。そう小声で呟いたのが聞こえたのかいつの間にか、お兄ちゃんはベットから立って優しく包んでくれた。
ころね「………なんで、お兄、ちゃんも泣いてるん、?(震え気味)」
もらる「……いや、、」
お兄ちゃんは言葉にするのを一瞬ためらって、それでも、いつになく優しい声色で、笑顔で
もらる「―――守れて良かった…それだけ。」
お兄ちゃんは、ただその一言だけ言って抱く力を強めた。