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――ブ、ブー――
「また…」
鞄を片手に、今度こそ帰れる、と思った時に再び携帯が震える。
この振動は、メッセージの方だ。
交遊関係の狭い私に、1日で2回も携帯が鳴るなんて滅多にない。
というか、相手が誰なのか想定できなかった。援交相手は、まずないし…
となると、また姫菜だろうか。
何気ない気持ちで、画面をスライドさせて送り主を確認する。
「え…嘘。」
心臓が、小さく震えた。なんと、そこには…母の名前があった。
母からメッセージが送られてくるなんて何年ぶりだろう。今更何の用事なのか。
いや、きっと義務的な、用に決まっている。あんな母なんだから。
心とは裏腹に、高鳴る胸を気づかないふりして…焦点の定まらない指で開いた。
『あんた、今日は帰ってこないでね。大切なお客さんがくるから。どうせ夜中まで男のとこいるんだからいいでしょ?若いっていいわねぇ。身体さえ使えばお金もらえるんだから。』
「……何だそれ…」
目眩がする。酸素がうまく心臓に入っていかない。必死に息を吸い込んでも吐きだせない。
馬鹿馬鹿しすぎて、言葉もなかった。分かっていた。ろくでもない母親なんだから、ろくでもないことしか言わないって。
だけどここまでとは思えなかった。母は、知っていたんだ。私がしていたことを。
それなのに何も言わず、むしろ嫌みをわざわざメッセージで送ってくるなんて。