テラーノベル
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人間になれないことなどわかっている。
自身は神で、いろりは人間。そこには越えられぬ壁があることも、二人きりの平穏な日々がいつまでも続くはずがないことも、蛇珀はわかっていた。
わかっているからこそ、いろりを仙界に連れて行きたくなかったのである。
「……いろり、帰ろう。もうここにいたくねえ」
いつからだろう。蛇珀がいろりの家を、いろりの側を、“帰る場所”と称していたのは——。
「俺は、いろりといたい。ずっと二人で、誰にも邪魔されずに暮らしたい。なんでそんなことすらできねえんだ、神なんて、やってたって何もいいことなんかねえ」
「蛇珀様……私は……」
蛇珀の苦しむ姿を見ると、ふとよぎってしまう。
(私と出逢わなかったら、蛇珀様にこんなにお辛い思いをさせずに済んだのでしょうか? ——なら、私は、もしかしたら……)
蛇珀は突如目を見開くと、いろりの肩を強く掴んだ。
心を読まずとも、彼女が何を言おうとしているか理解したからだ。
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