テラーノベル
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「誰かに認めて欲しかった。」
小さな願いだった。
漫画の世界では、こんな日。
満天の星空を眺めながら、願いを放つ。
流れ星が流れた瞬間に願えば、どんな願いも叶う。
そんな話を、どこかで聞いたことがある。
でも、現実はうまくいかなくて。
漫画のように、流れ星さえ流れない。
雲だけが浮かぶ空。
「少しでも」と期待した自分が、馬鹿みたいだった。
明日も明後日も、今日も昨日も。
毎日、毎日、誰かを羨む日々ばかり。
あの子は褒められている。
あの人は認められている。
それなのに、自分は。
……なんて。
比べたところで、何も変わらないのに。
この世界が夢ならば、早く覚めてほしかった。
この世界が漫画ならば、早く終わってほしかった。
この世界が何かを訴えているのならば。
一体、何を訴えているのだろう。
馬鹿みたいにはしゃいでは、
馬鹿みたいに笑う。
そんな日々が、
期待していた自分を裏切っていくことも知らずに。
妄想して、想像して。
夢の中で描いて。
上手くいかない日々に泣いてしまう自分は、
弱虫なんだ。
弱虫だから、強く見せるの。
弱いから、強くなりたいの。
人間は脆い。
それでも、その中で自分は、あまりにも脆すぎる気がした。
誰かを頼らないと生きていけない自分が、嫌いだった。
だから、誰にも頼らない。
……いや。
頼れないんだ。
頼ったって、いつかは裏切られる。
きっと、そうだ。
だったら、人から頼られる人になればいい。
誰かの役に立って、誰かの支えになって。
そうすれば、いつしかきっと。
この辛さも、なくなるはずだから。
幼い頃、本にあった言葉。
「人を信じられなくなった君へ。
強くなれなくてもいい。
君が君を認められる日まで、笑えばいい。
誰かを救える君が、誰かに救われたっていいんだよ。
誰かが君を見捨てても、君は君を見捨てないで。
泣いた日は、心が頑張った日。
笑えた日は、心が少し休めた日。
どれも君が生きた、大切な一日だ。」
この言葉を、何度も読み返した。
一度だけじゃない。
二度も、三度も。
数え切れないほど、何度も。
そのたびに、目の奥が熱くなった。
「あぁ……綺麗だ。」
小さな声で、そう呟いた。
「こんな言葉を紡げる大人になりたい。」
それが、幼い頃の願いだった。
誰かの心に寄り添える人。
誰かが泣いているとき、そっと隣にいられる人。
誰かが自分を嫌いになってしまったとき、
その人の良さを伝えられる人。
そんな人になりたかった。
けれど。
実際の人生は、そう上手くはいかなかった。
「あぁ、もうっ……!!!」
苛立つ日があった。
「グスッ……ひっく……」
泣いてしまう日もあった。
「えぇ〜? なにそれ、面白いんだけど!w」
お腹を抱えて笑う日もあった。
「違うっ! そう言いたいわけじゃない!」
言葉が上手く伝わらなくて、誰かと言い合いになる日もあった。
「そっか……辛いよね。
……何もわかってはいないけど、なにかできることないかな?」
誰かに相談される日もあった。
相手の気持ちが、すべてわかるわけじゃない。
同じ経験をしたことがあるとも限らない。
それでも、少しでも力になりたかった。
自分が言われたかった言葉を。
自分がしてほしかったことを。
目の前の誰かに、渡せたらいいと思った。
「無理、しないでね?」
ふと、そんな言葉をかけられた日もあった。
「………え?」
思わず、聞き返してしまった。
心配されることに、慣れていなかったから。
自分のことを気にかけてくれる人がいる。
そんな当たり前のようなことが、少しだけ不思議だった。
嬉しくないわけじゃない。
ただ、どう返せばいいのかわからなかった。
人生の進路がわからなくなる日もあった。
誰も信じたくない日もあった。
自分のことが嫌いになる日もあった。
それでも。
あの本の言葉だけは、何度も思い出した。
強くなれなくてもいい。
君が君を認められる日まで、笑えばいい。
誰かを救える君が、誰かに救われたっていいんだよ。
今でも、正直わからない。
自分を認められる日が、本当に来るのか。
誰かを心から信じられる日が、来るのか。
いつか、自分の言葉で誰かを救える日が来るのか。
何もかも、わからない。
それでも。
あの日、本を開いたこと。
あの言葉に出会えたこと。
それだけは、確かだった。
もし、あの本がなかったら。
もし、あの言葉を知らなかったら。
今とは、少し違う自分になっていたのかもしれない。
だから。
前を向けたのかもしれない。
……なんて。
そんなことを思いながら、今日も空を見上げる。
相変わらず、流れ星は見えない。
雲が浮かんでいる。
願いが叶う気配なんて、どこにもない。
それでも、いつか。
誰かに認められることだけを願うのではなく、
自分自身を認められる日が来たら。
そのときは、今日の自分を。
少しくらい、好きになれるだろうか。
……わからない。
まだ、わからないけれど。
今日もまた、一日が終わる。
泣いた日も。
笑えた日も。
上手くいかなかった日も。
誰かの力になれた日も。
きっと、全部。
一つ一つが大切な一日だから。
——これは、どこにでもいるような、
ひとりの少女の物語。
コメント
1件
Minさん、第1話読みました。誰かに認められたい気持ちと、でも頼れない自分。その矛盾がとても丁寧に描かれていて、胸に刺さりました。特に「頼れないんだ」の大きい文字が効いていて、強がりと弱さの両方が一気に伝わってきました。本の言葉を繰り返し読み返すシーンが好きです。少女が自分を好きになれる日が来るのか、続きが気になります。
さぁや❤🍒👑
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