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小さな部屋。そこにピリピリとした緊張感が漂う。俺は今、すっかり目を覚ましたディアさんとともに事情聴取と言う名の尋問を受けている。もう全て悟って全部を打ち明けているが質問してくる彼はいまいち納得のいかない顔をしている。

敵陣の尋問はする側の方が多かったし、というかする方しかやったことないので、下界に来てそうそうこう新しい経験ができるとは思ってもいなかった。

俺の目の前にいる青年は風樹というらしい。

爽やかな目つき、ふわりとした髪が見える。瞳は濃く深い緑であり瞳に吸い込まれそうになるほど綺麗だった。


「つまり異形化の内容がこれという事ですか」

「そうなのだ。だからどうしても困って…」

ディアさんの口調は相変わらず外見に合わない。

だから直せという訳でもないが…


彼はしばらくうーんと唸った。


「一つ質問をしましょう。」


「あなたたちはどうしたいですか。これから歩むことの出来る選択肢は考えても2つでしょう。」

一拍置いて彼は話し始めた。

「まず1つ目。天界にあなたがたをお戻しする事です。」

「戻す?」

「戻すと言っても少々強引でリスクが伴います。基本的に研究によって普段天界におりてくる異形化した天界人は下界で殺されると人間の輪廻から外れ、命を持たないものへとなると言われています。…天界へ戻れる確率はそう高くはないと…」

「…なんか難しいぞ、翠、どういうことだ」

ディアさんが真剣な顔でこっちを見る。

自分なりに解釈して見た事を言う。

「要するにもう天界にこの姿で戻ることは無いということです。このまま天界に送り返されても人ではないものになる確率の方が高いと。」

「何?!」

ディアさんが驚きのあまり椅子から落ちそうになったのを戻しながら風樹が喋るのを待つ。

「はい、解釈はあながち間違ってはいませんね。ただ意思疎通が測れてその上戦意を持たない天界人なんて、前例が少ないものですからこちらも今対応に困っているのです。」

彼は苦笑いしながらそう言う。こっちだって前例も何も無い。ましてや天界で生きていて下界なんてあるかどうかも分からなかった。


「そうか…と、ところで、2つ目とはなんだ?」

ディアさんが思いついたように言う。

「ああそうだ、2つ目ですね。2つ目はこのまま人間の振りをして生きることです。」


これは簡単、そのままの意味だろう。

「なるほど。」

ディアさんも理解したようだ。


「我々的には新たな研究もしたい所存であるのでぜひ天界人のあなたがたには下界に残って頂きたく思っていまして。それに天界に戻れる確率も低いのです、新たな人生を送りましょうよ。」


別に帰りたいと抵抗している訳では無い。だが俺はさておきディアさんが居ない天界など考えられない。

でも墜ちてしまったことには仕方ない。2つとは言えどももう選択肢はひとつしかないようなものだ。


「ディアさん」

「なんだ」

「あなたはどうしたいですか」


ディアさんはノータイムで答えた。

「どうせいずれはなにかでまた戻れるだろうし、居ても損は無いだろう。あまり変わりない世の中を見るのも悪いことではない。しかも天界の輩は我がいなくても持つ軍隊に育てたつもりだ。ヴィンディア大聖軍第三兵隊長の名に誓って言うぞ。…まあ勝手にするがいい。」


よくわかっていない風樹を前に鼻を高くしている。


「ということは下界で過ごす、ということですね?」

「そうです」「そうだ」


時間を置いてもう一度。

「本当にですね?」


「はい」「もちろんだ。」

そうですか、というと彼は少々お待ちくださいと言い部屋を出ていった。何をする気だろう。

ーーーー

しばらくすると書類を沢山持って帰ってきた。


「まだあなたがたの事は公にはできません。ましてやその服装、異世界人だということバレバレです。…すいません、口が。」

あはは…いいんですよ、と言いたいとこではある。

「これからはあなたたちの生態を調べるため、研究所へ送ります。あっ、ちなみに危害を加えるようなことはしないはずです。研究者たちにそのような人間はいませんからね。…多分」


多分?…


「研究って…なんだ、拷問か?!」

「そんな物騒なことはいたしません。軽いテストなどで済む場合が大半です。」

「そうか…」


そういうと風樹は俺たちの目の前で黙り込み黙々と書類に書き込み始めた。

ーーーー

しばらく経って。

「必要書類は多分これぐらいです。はい。」

ざっと数えて50はある紙を渡された。

筆跡を少し見れば少々乱雑ではあるもののキレのある字が見えた。

「これを持っておいてください。これからエネルギー研究地区にあるリベルテ研究院へお送り致します。」

リベルテ?研究地区?

「翠!研究院ってなんだ?」

頭の中が「?」でいっぱいになる。

立ち尽くす俺らをよそに風樹はどんどん先へ行く。


「急いでくださーい。事情はまたゆっくり話しますから。あっ、これ海麻ヶ崎の地図です!」


というと少し遠いところから彼は紙切れを投げた。

「よっと」

ディアさんが綺麗にキャッチすると地図が目に入った。

でもとりあえず後で見よう。


俺たちは彼について行った。これから何が起きるのだろう。



2話終わり



今回でてきたキャラ

風樹

2課の職員。

一人称僕、実は酒カスである。



なんか難しいですよね、すいません




下界は地獄です。

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