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***



翌朝、とてもそんな気分にはなれなかったけど。

いつの通りに8時過ぎには会社に到着し、日課である掃除を始めた。


ざわざわと出勤してくる人たちが増えて行くにつれ、やはり視線をひしひしと感じてしまう。

はぁ……、と深いため息と共に掃除用具を片付けて総務に戻ったなら。


「よお、お前坪井とまた何かあったのか?」


と、困ったように笑う八木の姿があった。


「おはようございます。八木さん今日早いですね?」

「いつも遅いみたいに言いやがって。で?」


「え?」と、真衣香が首をかしげると「あいつは女絡みの話が多いな」とあくびをしながらイスに座り、パソコンを立ち上げながら言った。


「それは、まぁ……。でも今回に関しては大丈夫ですよ、昨日前もって聞いてて」

「あ? 待てマジでなんかあったのか? まさか早々に浮気……」


八木はクリスマスの夜。

……あの日以降も何もなかったかのように真衣香に対し普通に接してくれていた。

だから真衣香も同じよう、何もなかったかのように振る舞う。

結局甘えてばかりだ。


そんな八木の声を遮って、朝にぴったりの爽やかな声が響いた。


「な、わけないじゃないですか~。寝ぼけてます? 八木さん」

「……誰が寝ぼけてるかよ。お前だから言ってんだろが」


対して八木は、その顔に色濃く怒りを浮かべ低い声を返す。


「え、お前だから言ってんだろとか酷すぎません? ショックだな」


坪井は特にショックそうな声は出さずに「ショックだ」と言い、笑った。

そんな坪井を見て、真衣香はなぜか少しホッとしてしまう。

ずっと気が張り詰めていたのかもしれない。


(昨日、全然寝れなかったからなぁ……)


何かに悩む夜がこれまでになかったわけではない。


ただ、そんな夜には大抵優里が話を聞いてくれた。

しかし、まさか昨日は、話すことなどできるはずもなく……。

かと言って問い質すようなこともできず、要は。


(……まだ。声聞く勇気、出なかった)


情けないなぁと、重苦しく息を吐くと。

坪井が真衣香の目線まで屈んで顔をじっと見つめてきた。


「大丈夫? 目が赤いけど、寝れなかった?」


言い当てられたが、真衣香は小さく首を横に振る。


「ううん。坪井君こそ帰り遅くなったけど大丈夫だった?」


聞き返したなら「当たり前だろ」と、笑う坪井の顔。重なって、昨日の夜の表情が蘇ってきた。



いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました

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