私たちは、今日もタイムマシーンで各地を巡っていた。
だが、いつもと違う違和感があった。
古びた屋敷の扉を押し開けると、冷たい空気が身体を包み込む。
案内人「西暦50XX年……」
クロナの声が震える。
クロナ「嘘でしょ…!」
セレン「どうしたの?」
クロナ「時間軸がおかしい。普通は3000年12月31日までしか行けないタイムマシーンなのに、なぜ5000年に来ているの?」
私の背筋に冷たい鳥肌が立った。
セレン「戻れるんだよね?」
クロナ「だ、だめ…何度やってもゲートが繋がらない…!」
その瞬間、屋敷全体が軋むような音を立て、影が壁を這い回った。
セレン「まさか、閉じ込められた…!」
クロナ「むやみに動かないで。私たちのバイタルが時空の歪みで不安定になってる。救助隊が来るまで、体力を温存しなきゃ」
突然、震える声が屋敷の空間から聞こえた。
男性「すいません!助けてください…魔女様…」
目の前には、霊体となった男性が立っていた。
セレン「どうしました?」
クロナ「お母さん…何?」
魔女である私には、霊体や残留思念が見える。
セレン「分かった。この男性は残留思念。未練を解消すれば、この空間の磁場が安定して、救助隊のゲートが開きやすくなるかもしれない」
クロナ「……わかった。魔女の直感ね。座標を失わないよう最短で終わらせるわ!」
私は写真を手に、街の中を探索した。
闇に沈む廃屋、雨に濡れた石畳、霊体の視線が背後から突き刺さる。
セレン「見つけた」
私は息子に事情を説明し、指輪を受け取って屋敷に戻らせた。
息子「ありがとう。ずっと探していたんです。両親が残してくれた指輪を…」
セレン「良かったですね」
そのとき、無線が鳴った。
「こちら時空救助隊、クロナ、セレン応答願う」
クロナ「こちらクロナ。現在地、西暦50XX年・廃屋。タイムゲート閉鎖により帰還不能。二次遭難の恐れあり。至急、ピックアップ及びゲート開放を要請。磁場不安定、慎重なアプローチを」
救助隊「このまま連絡を維持せよ!ただちに救助に向かう!」
廃屋の闇の中、壁の隙間から何かが蠢く。
私はクロナの手を握り、震える声で囁く。
クロナ「大丈夫、もうすぐ助けが来る…」
救助隊の光が屋敷に差し込む。
私たちは無事、現実世界に戻った。
医師の診断でも異常はなかった。
だが、心の奥底には、あの廃屋の冷たい空気、影の蠢き、霊体の声がまだ残っている。
私は固く決意した。もう二度と、こんな恐怖を味わう旅はさせないと。






