テラーノベル
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―侑視点―
「……ム…ツム…」
「ん、ん~……」
なんや、微かに治の声が……
「侑」
「ん~、なんや……」
「もう朝やで。はよ起きな俺まで遅刻するやろ」
もう朝なのか。
でも、まぶたが重くて開かない。
それにめっちゃ眠い……
あとちょっとだけ……
「え〜、あと、ちょッ、と……zzZ」
「はぁー、……ほな、あと5秒で起きれたらおはようのチューしてあげるで」
(…え、今チューするでって言ったか?)
(いつもはそんなんしてこないのに……でも、してほしいな…//)
「5、4、3……」
「わ、わかった!起きる!起きるから!」
はぁ~、俺よりも治の方が1枚上手だった。
いつもこんな感じで俺が負けている。
けど、いつかは俺が勝ってギャフンと言わせたる!
「ほら、ボケっとしとらんでさっさと準備せぇ」
「……おはようのチューは?」
「欲しがり」チュッ
「ん、…おはよサム」
「おはよ、朝ごはん作ったからはよ食べよや」
「おん」
俺の名前は宮侑。稲荷崎高校の2年生だ。部活はバレー部に入っており、春高で勝つためにも日々練習に励んでいる。
俺には双子の兄弟がいる。名前は宮治。俺と同じく稲荷崎高校でバレー部に入っている。そして治は俺の恋人でもある。
中学の時にお互いの気持ちを知ったのがきっかけで付き合ったのだ。正直、叶わない恋だと思ってたから付き合った時はとても嬉しかった。
治は優しいし俺のことを誰よりも大切にしてくれているカッコいい自慢の彼氏だ。
ホントは両親にも治と付き合えて幸せだと言ってやりたかった。
両親は俺らが小学校低学年くらいの時に亡くなった。事故死だった。事故の時、俺らも一緒にいたものの両親は助からなかった。
それからは俺と治の2人で生活してきた。小さい時から親がいないため、生活は大変だったが今ではそんな事も慣れてきた。
今の俺たちは互いが互いを求め必要とし、支え合っている。そんな存在になっていた。代わりなどいないお互いが唯一無二。どちらか片方が崩れたらもう片方も崩れてしまう。
けれど、俺らはこれからもずっと一緒に居るつもりだ。離れたりするなんてあり得ない。そんな事があったら俺はすぐに崩れ落ちてしまうだろう
けど、大丈夫。これからもきっと幸せなはず。
これからもずっと治と一緒に居れるはずだ。
「ツムー、はよ学校行くでー」
玄関から治の声が聞こえた。もちろん遅く起きた俺よりも治は早く準備が終わったためもう玄関で待っていた。
「ちょっ、待ってや〜」
「急がんと遅刻するで?」
「人を焦らすような事言うなや!」
「準備してない方が悪い」
そんな会話をしつつも俺は準備を終え、すぐ玄関へと向かった。
「忘れもんはないか?」
「おん、大丈夫やで」
「そーか、ほな行ってきまーす」
「行ってきまーす!」
家には誰もいないが、玄関にある両親の写真に向かって「いってきます」と挨拶して家を出た。
高校まではいつも歩いて通っている。家の近くには稲荷崎高校前まで行くバスもあるが、そこまで遠い距離と言うわけでもないため不便ではない。それに治と部活や学校の事など話もできて楽しい。
「あ、せやツム」
「ん?」
治が何か思い出したのか俺に話し掛けた。
「今日部活のあと先に帰っといてくれるか?」
「え、おん、別にええけど……なんや用事か?」
「そんなもんや」
「ほーん、」
さすがに毎日一緒にいるとはいえ、治のスケジュールを完璧に把握しているわけではないため、こういう事もたまにある。治の事について俺が知らないことがあるのかと思うと少し悔しい。
それに今日は治と帰れないのか……
「………シュン」
「フフッ、ツム俺と帰れんくて寂しいんやろ?笑」
「ギクッ!」
今まさに思っていたことを治に見事言い当てられしてしまった。俺の寂しいという気持ちを言い当てられたことに俺は少し動揺を見せてしまった。
「べ、別に!そんなんちゃうし!!」
「はいはい笑」
今朝と同じようにまた治に負けた…
ホンマ俺いつ治に勝てるんやろ??
そんな事を思いつつもまた2人で何気ない会話を続けているとちらほらと同じ制服を着ている人を見かけいつの間にか学校の門が見えてきた。
「ほな、昼休みな」
「おん」
俺らはクラスが別々のため、下駄箱の前で別れそれぞれの教室へと向かった。
教室に着くとクラスの半分くらいの人はもう来ており、がやがやと少し賑わっている雰囲気になっていた。
「侑、おはよぉ」
「ん、おはよ」
教室に入り、最初に声をかけてきたのはバレー部のチームメイトでもありクラスメイトの銀島結だった。俺らは銀と呼んでいる。
「なぁ侑、今度の休み空いとるか?」
「ん?別に予定は入っとらんはずやで」
「ホンマか!実はな、この前商店街の福引で遊園地のチケット当たってん」
「え、そらすごいな」
「やろ?で、チケットが4人分やから角名と治も誘って皆で行こうかなと思て」
角名とは同じくバレー部のチームメイトの事。クラスは治と一緒だ。よく俺、治、銀、角名の4人で遊んだりしている。
「ありがたい話やけど、俺らとかでええんか?家族と一緒に行かんくて」
「話はしたんやけど予定が合わんくてな。チケットの期限も過ぎてまうし友達とでも行きなって」
「なるほどな。ほな、ありがたく行かせてもらいます。治も特に予定はない言うてたから大丈夫だと思うで」
「おん、わかった」
ちょうど話を終えたところで担任が教室に入り皆自分の席へと戻っていった。担任は教卓の前に立ちそのままホームルームが始まった。
コメント
6件
ぐっはは まじまたチャットノベルのも見てギャン泣きした 本当に最高すぎる!
おはようのチューねだってんの可愛すぎてしぬ案件(?)治のほうが1枚上手なんだよ🫵 侑クンかわいすぎて最高きみは治には勝てないよ🫶🫶てかこのあとががち号泣案件なんだよなぁ…😭 親事故死なのはかなしいよな😢😢 今回の侑かわいいのが多くて最高でしたわ🫵🫵🫶🫶︎💕遊園地楽しんでらっしゃい🫣 続き楽しみ😊😊︎💕やっぱpino書くのがうますぎる🤤🤤🤤
キスして欲しくて起きる侑がどちゃくそに可愛い🫣🫶💕 あと、一緒に帰れなくて「シュン」ってなってるの好きw 可愛すぎでしょ😳😳 てか、両親事故死なの可哀想すぎる😭 遊園地めっちゃおもろそう!! 絶対治食べ物ずっと食べてる🤣 次も楽しみ〜‼️🤗🤗