テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
臣桜
50,819
鷹槻れん

34,728
#恋愛
水無月 京
1,300
#オフィスラブ
草原草原

1,286
「……だからっ。好きですってば」
「もう一回」
「桶川さんが好きです。一緒にご飯食べるの楽しいし、仕事教えてくれるのも嬉しかったし、何よりはっきり言えば見た目が好みです……っ」
言葉と一緒に、唇が掬い取られる。頬を押さえていた彼の手は、いつの間にか頭を押さえて私を上に向かせている。
右手は反射的に抵抗しようとした私の左手をしっかり押さえていて、身動きもできないまま、私は彼の甘がみや舌の動きに翻弄されてしまった。
「ん……あ」
「すげぇ、色っぽい声も出るんじゃん」
「そりゃ……って、あー!」
ここは会社だった!
テンパりすぎていて忘れていた。
勢いよく彼を突き飛ばし、辺りを確認する。
会議室だから誰も見てない……わけでもない。入口がうっすら空いていて、人影が見えるよ。
「何見てるんですかぁ!」
「ごめんごめんー」
声からして、あれは亀田さんだな。でも、ガタガタと逃げる音からして、一人ではない。少なくとも三人は覗いていたっぽい。
「亀田だな、あの野郎」
「いや、でも待ってください。責められるべきは、会社でこんなことをしている私たちでは?」
「もう定時過ぎてるぞ、覗きのほうが有罪だ」
「いやいや、待ってください。そもそもこの場所の公共性を考えるとですね」
「お前、どっちの味方なんだよ」
あ、しまった。
桶川さんを拗ねらせてしまった。
「ああもう、面倒くせぇ!」
桶川さんは私をひょいと子供を抱くように抱き上げた。
そして会議室の扉を力いっぱい開く。
「というわけで。高井戸は俺のだからな。お前ら、手を出すなよ!」
なんという宣言をするのだ。
この人も、実はやっぱりストーカーっぽいところあるんじゃない?
やっぱり私、男運悪い?
でも、森上さんの時と全然違うのは、そんな独占欲いっぱいの発言が嬉しいってこと。
「うるさい、桶川。従業員の私物化はいい加減にしろ」
会議室隣の社長室から、社長が出てきて、大きなファイルで桶川さんの頭をぶん殴った。
「いてぇな」
「お前があまりにも大人げないからだろうが。高井戸さんが可哀想じゃん。ねぇ」
優しいイケメンスマイルに、「社長ー」と泣きついてみたら、桶川さんがますます腹を立ててしまう。
「お前、俺が好きだっていったろうが」
「社長は正統派のイケメンだから仕方ないんですよ」
「この面食い女!」
「面食いで悪かったですね」
「お前ら、喧嘩するだけならもう帰れ!」
最終的に怒り出した社長に追い出されて。私たちは会社を出たのだった。
コメント
1件
うわああああ第33話読みました!!😭💕 会議室でキス!しかも桶川さんからの「好きです」の連呼、もう最初から最後までキュン死に寸前でした!!「もう一回」ってリピート要求するとこ、桶川さんの余裕な感じと照れてる感じのバランスがエモすぎる…!! そして「高井戸は俺のだからな」の全校宣言、社長に叩かれるオチまで含めて完璧なラブコメ展開すぎてもう叫びましたよ!!笑 亀田さんたちの覗きも含めて、会社の空気感がリアルで、でもちゃんと甘くて…この絶妙な塩梅が本当に好きです…!!次の話も絶対読みます🌸