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蘭の残念なところは、枚挙にいとまがない。
まず、顔が完璧すぎる。綺麗な目鼻立ち、透き通るような白い肌、伏し目がちな仕草。少し歩けば、周囲がざわつくレベルの美少年。だが、その完璧な外見に誰もが憧れそうになった瞬間——蘭は容赦なく、その幻想をぶち壊す。
「鈴先輩!知ってました?人間の血管を全部つなげると地球を2周半するんですよ!……つまり、僕の愛もそれくらい長いってことですね!」
「蘭、いつもその顔で台無しにしてくるわね」
知識のチョイスがおかしい。しかも、本人は真面目な顔をして言っているからタチが悪い。無駄に頭が良いせいで、どうでもいい豆知識を大量にストックしており、タイミングを見計らわずに放出してくる。
ある日、クラスメイトから「イケメンなんだから、黙ってたら?」と言われたことがある。そのときの蘭の返答がこれだ。
「え?黙るのは無理ですよ!だって、沈黙は金っていうじゃないですか!でも、僕が黙ったらこのクラスの財政は破綻しちゃいますよ!?」
「蘭の口が経済を回してるんじゃないわよ…」
さらに残念なことに、蘭はどんな状況でも真顔で親父ギャグを言う。友人が悩んでいるときも、先輩が真剣な相談をしているときも、突然空気を破壊する。
「先輩、大丈夫ですよ!人生って山あり谷あり……ってことは、今は谷です!つまり、ジェットコースターならそろそろ上がる時期です!…あ、で、でもまだ下がるかも…」
「励ます気ある?」
そんな調子だから、初対面の人は「え、こいつって本当にあの美少年?」と困惑する。しかし、なぜか彼の周りにはいつも人がいる。なんだかんだ言いながら、彼の残念さが癖になり、気づけば彼の話を待っている自分がいるのだ。
蘭は、イケメンに生まれたのに、喋るだけでそのステータスをゼロにする奇跡の男だった。