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私の名前は、天河。そう呼ばれている。
私は、この世に生を受けて以来、 一度も名前を呼ばれたことがない。
物心ついたときには既に両親はおらず、 親戚の家に預けられていた。
私が引き取られてから数年後、両親が事故死したことを聞かされたが、あまり実感がなかった。
私はそれからずっと一人で生きてきたのだ。
親の顔すら知らないままに。
だが、そんな私にもついに転機が訪れた。
ある日、見知らぬ女性が現れて、私を引き取りたいと申し出てくれたのだ。
その女性は、私に「天界へ案内してくれないか?」と言った。
この女性の名は、「天使」と言うらしい。
彼女はとても美しい容姿をしている。
だが、それは顔だけのことではない。
彼女の体つきそのものが美しく見えるのだ。
まるで芸術作品のように、完璧な美しさを持っている。
私が今までに出会った中で、最も美しいと言えるかもしれない。
そんな彼女を見て、私はこう言った。
「君には羽があるじゃないか! どこへ行くんだ?」
そう言うと、彼女は笑って答えてくれた。
「ふふっ。違うわよ。
わたしはね、『天界』へ行きたいの」
私は思わず聞き返した。
「え?『天国』じゃないのか?」
彼女は笑いながら答える。
「あぁ。ごめんなさい。
言い間違えちゃったみたい。
わたしが行きたかったところはね、
『天国』じゃなくて『天界』なの」……んー。よく分からない。
まあいいか。彼女が楽しそうだし。
さてと。それでは行こうかな。
私は彼女と彼女のことを愛していたんだ。
彼女は私を愛してくれていたよ。
ああ、そうさ!彼女が私を見捨てるはずがないじゃないか! あの日見た月は本当に綺麗だったね。
まるで君みたいだよ。
ほら見てごらん。
あれほど美しいものは他にはないよ。
あそこにあるものは全て君のものだ。
何もかも好きにするといい。
ただひとつだけお願いがあるんだ。
僕を忘れないでくれ。
僕のことを覚えていて欲しいんだよ。
それだけでいいんだ。
たったひとつのことだけれど、難しいかな? でも大丈夫。君は出来る子だからね。
それに僕はずっと憧れてたんだ。
あの日から今日までずっとね。
だから僕は夢を見ることにしたよ。
さあ、今日こそ叶えよう! 君と僕だけの理想郷を!! もう二度とあんな思いはごめんだよ。
ああそうさ、僕はバカだよ。
君の気持ちなんて全然わからなかった。
どうして教えてくれなかったんだろう? 僕のことなんか忘れちゃえばよかったのに。
ねぇ、君は今幸せかい? それともまだ、苦しんでいるのかな? 僕はね、君と同じ夢を見たよ。
それはとても辛いものだったけど、 僕にとってはかけがいのない大切なものさ。
だからもう迷わないでほしいんだ。
僕の分まで笑って生きてくれないと困るんだよ。
大丈夫だよ。
どんなに辛くてもいつかきっと報われる日が来るはずだから。
それにほら、見てごらん。
君の未来はとても綺麗じゃないか! 君はこの先、素晴らしい出会いに恵まれるよ。
君には大きな才能があるんだ。そのことに気づいてほしい。
大丈夫さ。きっと上手くいくよ。
どんなことでも乗り越えられるはずだ。僕を信じてついておいで。
そうすれば間違いはないはずなんだ。
信じてほしい。僕の言うことをすべて信じるんだ。
君はもっと幸せになれるんだよ。僕はそのために力を尽くしているんだ。