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白熱したクイズ大会も一段落ついて、時計を見ると時刻は21時を指していた。
💛「明日はみんなで買い物に行く予定だから、蓮は先風呂入ってきな」
照兄さんがそう言って案内してくれたので、先に荷物を部屋に取りに行ってから、風呂場に向かった。
浴室は、近所にある銭湯よりも大きくて、一人で入るには勿体無いなと思いつつ体を温めた。
風呂から上がってリビングに行くと、みんながテレビを見ていたので、俺も一緒にソファに座って見ることにした。
そのテレビ番組は情報番組で、子供が見るには少し難しい内容だった。
しばらくして、隣に座るラウールの瞼が今にも落ちそうな程に微睡んできた。眠気には勝てなかったのか、俺の肩の上で寝息をたて始めた。
俺は身動きが取れなくなってしまったので、同じくソファに座っていた康二に話しかけてみる。
🖤「そういえば、ラウールってハーフなの?」
中学生なので染めてはない筈の髪も白の割合が多いし、日本人離れした背丈や顔つきが気になっていたので質問した。
🧡「せやで!ラウは日本とベネズエラのハーフや。ただ、その髪色は昔入院してたときのストレスとか薬のせいらしいで」
眠るラウールの髪を優しく撫でながら康二が言った。翔太兄ちゃんもやって来て、
💙「ハーフと言えば、お母さんがタイの人だから康二もだよな」
🖤「じゃあお母さんタイ料理とか作ってくれたんだ?」
🧡「まぁな」
眼鏡のレンズ越しに見えた康二の目はどこか悲しげで、それに気づいたのか、亮平兄さんが俺に耳打ちしてくれた。
💚「実は、康二のお母さんは5年前に亡くなっているんだ」
それを聞いて俺は青ざめた。余計な事を言って康二に辛い出来事を思い出させてしまった。慌てて俺は謝った。
🖤「ごめん、俺何も知らずに…」
🧡「ええんやで、蓮。亮平兄ちゃんも。もう昔の事や。それに、俺にはもう兄弟がいるから大丈夫やで!」
康二の瞳は、さっきまでの明るい光を灯した目に戻っていて、俺は少し安心した。
1時間くらい経っても、ラウールが起きないので自分の部屋に行けない。残っていた辰也兄さんに相談すると、毛布を二人分持ってきて、俺とラウールに掛けてくれた。
💜「おやすみ」
それだけ言って兄さんは微笑んだ。今までずっと独りで眠っていた俺は、その一言がとても温かく感じた。
他の兄弟は既に自分の部屋に行っていたので、兄さんは照明も消してくれた。
部屋が暗くなると、俺も眠くなってきた。俺に密着して寝息を立てるラウールの体は温かくて、4月の寒さを感じずに眠れた。
こうして俺は、長い長い1日に幕を閉じた。
次回は番外編です!ちょっと内容重たいかも。。