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そこは、森林というにはかけ離れている。云わば均整のとれた雑木林のようだった。三人は木々と青葉の匂いの心地よい風を受け、眠気が生じてきたようだ。私を除いて……。
しばらくすると、安浦が眠りだした。その次に呉林。私はしばらく起きていた。二度寝は苦手なのだ。仕方がないので、呉林の顔を見つめていた。
柔らかな風を受けて、横になっている私の頭に理性と幾つかの疑問がよぎってくる。渡部や角田もこの世界に来たのだろうか、本当にこの世界で寝ると元の世界で起きられるのだろうか。
私は眠った。
…………
私はルゥーダーという青年の体に入っている。入っているというとルゥーダーの体へ私の意識がその中に入ると聞こえるが、少し違う。私の意識がルゥーダーの意識の中心の外側に生じた。
彼は私に内心気が付いているのだろうか。
「カルダ様。俺の母だった頃。思い出しましたか」
カルダと言われた老母が首をユルユルと振る。
外は雪が降っている。二人は暖かい焚き火を囲んでいる。
「わしの息子は、どこへ行った。わしは知らん」
目の前にいるルゥーダーという子をカルダという名の母は知らないと言う。
…………
数時間が経った。起き上がり、私と呉林は途方に暮れた。何も起きないのだ。元の世界にも戻れていない。
安浦も起き上がり、さすがに現状の不可解さに混乱し青い顔で震えだした。もうどうしようもないといった顔だ。
「どうしよう。こんなことって……」
呉林がか細い声で言った。呉林もさすがに事態の深刻さに恐ろしくなったようだ。そして、ぶつぶつと独り言をしながら俯く。
「とりあえず、何か食べ物をさがそうよ」
私は二人を元気づける。こんな世界でも何か食べ物くらいあるだろうと私は考えた。不可解さには確かに応えているが、腹も減っていた。元気をだして二人を促す。
イースト・ジャイアントでは何も食べられなかった。朝食もとってないし。呉林はぶつぶつ言いながらついて来た。安浦は食べ物と聞いて青かった顔に少し笑顔が生じる。
均整の取れた雑木林を歩いていると、地面にゴルフボールが落ちていた。
「ここは、ゴルフ場だ……」