私は驚きの声を発し、少し先まで歩いてみると、遠くに広大な芝生が広がる。バンカーと呼ばれる砂地もいくつもあり、遥か地平線のところに赤い旗のポールが立っていた。膨大な数の池や橋、丘も向こうに見えた。
こんなところで、あのテレビ頭に出会ったらと思うと心臓が縮みあがった。戦う道具がまったくないのだ。それでも、私は頭を振って、この不可思議な体験の仲間である呉林たちと歩いくことにした。
広大過ぎる芝生は遥か地平線まで続いている。いったいどこまで続いているのだろう。
「ここ地球と同じ大きさかも。ご主人様」
安浦が途方もないことを呟いた。
地球と同じ大きさ……。
私は食糧を手に入れたらさっさとこの世界から逃げなければと考えた。一瞬、こんな世界に放り込まれた恐怖と不可解さからの激しい混乱を生む。
「ご主人様。でも、どこに探しに行きますか。この世界は広すぎて、どこをどう探したらいいか、解らないですよ。それに、ここがゴルフ場だとしたら、食料なんて無いのかも。」
「……大丈夫。何とかなる……さ……多分」
芝生や向こう側の西の方には池が幾つかあった。
恐らく延々と歩き回っても、何日間は同じ風景なのではと思えてしまう。日陰の雑木林の外は炎天下であった。立っているだけで汗が滲んできた。
「この紅茶は持って行った方がいいわ。この暑さでは、水分補給が絶対に必要よ。でも、これだけの量の水分では足りないわ。熱中症になったら命にかかわってしまうと思うし」
呉林は急にそれまで、ぶつぶつ言っていたのだが、極めて現実的なことをいってから、下に置いてある3つの紅茶を指差した。そして、またぶつぶつとやりだす。
私はこのゴルフ場で、テレビ頭に遭遇することだけではない不安で身震いした。確かにこの世界は不可解すぎる。
この世界の太陽を見るが、現実とまったく変わらずにキラキラとしている。光・イコール・暑さだが、その光も暑さも紛れもなく現実だった。私は地面に置いてある紅茶を手に持ち、この世界に夜があるのならば、活動するのは夜の方がいいのではないだろうかと思った。
「呉林。この世界に夜はあるかな。活動するのは涼しいはずの夜の方が、水分補給などを考えても有効な打開策かも。けれど、後は食糧の問題があるか……」
私は出来るだけ常識的に考えてみた、
呉林は俯いていたが顔を上げ、
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