🩷「おーーすげぇなぁ」
満開を過ぎ、見物客もピークを過ぎた桜並木。
今日は少し風が強くて、よく花弁が舞っている。
🩷「今年も桜の季節が終わるなー」
💚「そうだね」
佐久間は少し前へ駆け出し、花吹雪の真ん中でくるくると回って見せる。
💚「ほんとに綺麗」
🩷「いやお前の方が綺麗だよ」
💚「ふふ、またそれ?」
佐久間のことだよと言いたかったのに、いつものネタでかぶせられる。
何となく言うタイミングを失いながら桜並木を歩いていると、佐久間は俺の異変に気付いてしまったようだ。
🩷「阿部ちゃん今日体調悪い?」
💚「えっ」
🩷「なんか口数少ないし、どうしたのかなーって」
今言うべきだろうか、と思ったのに、なぜか踏みとどまってしまった。
💚「そんな事ないよ、いつも通り」
🩷「そっか…ならいいけど。実は今日、話したいことがあって」
改まった雰囲気を纏った佐久間に緊張しながら聞く姿勢を見せる。
💚「うん、どうしたの?」
🩷「俺、好きなやつできてさ」
心臓が飛び出しそうになった。
💚「えっ、そうなの?」
🩷「んー。しかもさ、メンバーなんだよね」
ずっと近くにいたのに急に好きだなって思って、と話す佐久間の頬は桜みたいに染まっている。
本当に可愛くて、今咲いているどの桜よりも、舞い散る花弁よりも綺麗で、俺は取り繕うように言葉を紡ぐ。
💚「意外と近くにいるとか言うもんね。それ、誰か聞いてもいいの?」
🩷「うん、阿部ちゃんに一番に話そうと思ってた。実は」
風が吹き、花が舞う中で佐久間は言った。
🩷「照なんだけどさ」
聞き間違いなら、どんなに良かっただろう。
でも佐久間は確かに照と言った。
俺はちゃんと反応できていただろうか。
落胆や、変な顔を見せていなかっただろうか。
💚「そうなんだ、いいじゃん。お似合いだよ。応援する」
思ってもない事を言ったけど、佐久間の顔は綻ぶ。
🩷「マジで!?阿部ちゃんはわかってくれると思ってた。ありがとな!いやー、やっぱり話して良かったわ」
💚「俺も、聞けて良かった」
それは俺の精一杯の負け惜しみだ。
自分が振られる前に、佐久間を困らせる前に、これを知って良かった事にする。
花見を終えて、佐久間と別れて、帰るフリをしながらまた桜並木に戻る。
バッグの中に忍ばせていた抹茶と桜のマカロンを取り出す。想いが届いたら、一緒に食べようと思っていたけどもう出番はないだろう。
美味しいと評判で少し並んで買ったけど、かじってみても味がしなかった。
風が吹いて、また花が舞う。
💚「あーあ、フラれちゃったな……」
平気ですよと自分に言い聞かせながら歩き出したけど、涙が溢れて止まらない、前が見えない。
誰もいないのをいいことに、花吹雪に隠れるようにしてしゃがみ込んで泣いた。
俺はあれから、春が苦手だ。
🖤💚に続く予定
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まままままず、確認したいのですが、これはさっくん攻めてこと???😳 尊すぎて死にかけのまきぴよからのお手紙です…