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「なあ、腹減った」
「あれ? ご飯食べてないの? ケーキだったらあるけど」
「いや、ケーキはいらない。ラーメン食べたし」
「だったら…」
そのまま引き寄せられて組み伏せられ、ソファーに押し倒された。「僕が今から喰うのは、コッチ。お腹ペコペコ」
「えっ。ちょっと、待って・・・・っ、ん、っ」
着用していたカットソーを乱暴に掻き上げられ、ブラジャーも強引にずり上げられ、そこから飛び出た突起を口に含まれた。
「僕、早く子供欲しい。どう?」
「どうって言われても…」
この状態で聞かないで欲しい。
「じゃあ早く作ろう。毎日頑張るから」
血の気が引いた。毎日エッチされたら、地獄だって!
「毎日はちょっと……仕事もあるから、難しいかな」
「欲しくないの? 僕との子供」
やんわりと断ったら、光貴がムッとしたような顔を見せた。
「そうじゃないよ。私だって子供は欲しいけど……」
その過程が辛いって言えたらいいけど、言えないのが現実。
「じゃあ、拒否しなくてもいいやん。僕はいっぱいセックスしたいし、早く子供も欲しいから」
軽く文句を言われ、再び行為が開始された。
「ちょ、ちょっと待って。ベッドに行こうよ」
この状態で光貴を受け入れるのは不可能だ。ベッド下の収納クローゼットににローションを忍ばせてあるから、そこじゃないとできない。
身体を重ねる度に思う。私はどうして光貴と上手くセックスができないのだろう。どうしてこんなに長く一緒にいて、乱暴なこともされないのに、光貴を拒絶するしかできないのだろう。
うまく出来ない度に、心がすり減っていく。自分が悪に思えて、どうしようもなく追い詰められる。
この世からセックスなんて、なくなればいいのに。
「たまにはさ、このままでもいいやん?」
珍しく光貴がそんなことを言い出した。
冗談じゃない!
「ソファーは狭いから、汚れたら掃除も大変だし……あっ、その前にお風呂入った方がいいよっ。光貴、今日は学校に行ったから煙草の臭いもついてるし、綺麗にしてからにしよう?」
光貴も私も煙草は吸わないから、副流煙の臭いには敏感になってしまう。
「その方がいいか。わかった。シャワー浴びてくる」
了承を得て胸をなでおろした。このままなし崩しにしてしまうと翌日が大変だ。多分下半身が激痛に見舞われ、仕事に差し障る。
思わずため息をつきたくなった。
セックスさえ無ければ結婚生活は順調なのに。もうしたくないって言ったらどうなるのかな。
この生活が崩れてしまいそうで怖い。うまく出来ない私が悪なのだから、黙って耐えるしかない。だから、体を重ねるのが辛いと言い出せなかった。
世の中には私みたいにうまく出来なくて、苦痛に感じている人も多いのではないだろうか。
シタいのにできない人、シタくないのに強制させられる人…みんなそれぞれに悩みがある。
デリケートな問題だから言えないだけで、根深い闇の部分かもしれない。
その日は順番にシャワーを浴びて、ベッドで光貴を受け入れた。
ローションをたっぷり塗っておいたから、少し痛い程度で済んだ。
これからこの苦痛が妊娠するまで続くのかと思うと憂鬱になる。
早く妊娠して欲しい。この辛いセックスライフから、解放されたい。
今度、子供授かりのお守りを買いに行こう――光貴と交わりながら、そんな風に考えた。