テラーノベル
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#ファンタジー
演劇の準備が本格的に始まって一週間が経った。
稽古は順調に見えた。
しかし俺のスカウターは、クラス内に広がる僅かな「不協和音」を正確に観測していた。
役者チームにはクラスメイトからの賞賛と注目が集まる。
しかしその裏で、黙々と作業を続ける大道具や衣装といった「裏方チーム」。
彼らの心には、疲労とそれから、誰にも評価されないことへの不満が溜まり始めていた。
【裏方チーム:士気低下傾向(35%)】
その日の稽古の終わり。
天宮蓮司が突然、クラス全員を集めた。
それから彼は役者たちではなく、裏方チームの前に立つ。
彼は三好たちが作り上げたまだ未完成の校庭のセットを指差し、こう言ったのだ。
「みんな、これを見てくれ。凄いと思わないか?」
クラス全員が、そのセットに注目する。
天宮は続ける。
「役者チームのみんなが、この舞台の上で王や姫になれるのは、彼らが、この世界そのものを作ってくれているからだ」
「照明がいなければ、俺たちはただの暗闇の中の道化だ。音響がいなければ、俺たちの声は誰の心にも届かない。衣装がいなければ、俺たちはただの高校生だ」
それから彼は最後にこう締めくくった。
「この劇に主役や脇役の差は一切、存在しない。役者も裏方も全員が主役だ。俺はそんな最高のチームの一員であることを誇りに思う」
その天宮の言葉に、裏方チームの生徒たちの目に涙が浮かぶ。
三好ですら、照れくさそうに顔を背けていた。
彼らは初めて、自分たちの仕事が正当に評価されたのだ。
役者チームもまた彼らへの感謝と敬意を新たにする。
その瞬間、俺たちのクラスは初めて一つの「チーム」になった。
奏:「見たかミラー。あれが王の器だ」
ミラー:「ああ。彼は問題をみつけ、迅速に解決した。俺たちの理解を超えている」
奏:「俺の脚本など、この男の前ではただの子供の遊びだな」
ミラー:「奏。彼はただ優しいだけじゃない。彼は個々の生徒の性能だけではなく、組織全体の総合力を最大化する方法を知っている。人の上に立つ器として最高の才能だ」
俺はその言葉を否定できなかった。
ただ目の前で起きた奇跡のような光景を戦慄と共に観測していた。
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