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ドキンッドキンッ・・・
スマホを持つ手が震える
「俊哉?・・・どうして私の番号を知っているの?」
途端に酸素が足りないような気がする、玄関に突っ立ったまま、氷のように冷たく固まってその場から動けなくなる
「元気にしてるかい?リンリン」
「リンリンなんかじゃないわ、そんな呼び方しないで」
耳になじんだ声に、一瞬にして過去に引き戻されたような気になる
目を閉じれば思い出す、京都のあのアパートで俊哉の帰りを待っている、あの彼のペットのような生活を
「私になんの用なの?」
緊張した声で言った、どうやら私は目隠しをして彼を見ていた時期があった、おそらく見たいものしか見ていなかったのだろう、もともと彼に備わっていない性質を彼の性格だと思い込んでいたのだろう
「用なんてないけど・・・ただ君に謝りたいだけなんだ・・・」
俊哉は答えた
「それともう一度やり直すことを考えてほしくて」
この人を愛していると本気で思っていた時もあった、そう思いながら彼の言葉を聞いていた、あの頃みたいに一方的に喜ばせようとするのも
「それは無理と以前も言ったでしょう、あなたは私に暴力を振って私たちは正式に離婚したし、慰謝料もあなたに払ったわ 」
俊哉はいかにも申し訳なさそうなシュンとした声で言った