この作品はいかがでしたか?
404
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俺はいつしか自分が何故生きているのかが解らなくなった。俺と居るから皆不幸になってしまう。俺は大切な者さえ守れない程に弱いのだから。シツジイが死んだのも、自分を庇ったから。俺が強ければ大切な者を喪わずにいられたのだろうか。馬鹿馬鹿しい、過去を思い出す度に息が苦しくなって、寂しさと悔しさ、悲しみ、そして何より家族を傷付けたマフィアやそんな大切な家族や周りの人達を守れなかった自分への怒りに呑み込まれそうになる。皆の事が大切だからこそ、不安なのだ。いつかまた喪ってしまう気がして、だがそれと同時にこんな俺を好きでいてくれる奴など居る筈がない、きっと皆俺を嫌っている。大切な存在だと思っているのは俺だけなのだと。………理解はしている。裏切る様な奴らではないと。皆優しい人達だ。でも、解っているのにも関わらず、俺は疑ってしまう。もしかしたらいつかはこんな俺に嫌気が差して捨てるのではないか…今も俺を利用しようと考え一緒に居るだけなのではないか、そう考える度、息が詰まりそうになり、それと同時に疑う事しか出来ない自分を責めた。もう泣かないと決めていた筈が、涙が溢れて止まらなかった。自分は弱くて、何の役にも立てない、迷惑を掛けているだけの駄目な存在なのだと。こんな俺が優しい皆の側に居るなど赦されない事なのだととても苦しかった。信じたいのに、過去が過ぎって辛くて、たまらず、疑ってしまうのだ。俺は愚かだ。全て、俺のせいだ。本当に俺は誰も守れなかった……苦しい、苦しい。この俺がマフィアを倒して、家族を救い出す事など本当に可能なのだろうか?皆の様に強くもなければ、戦闘に役立つ技など持ってはいない。皆に友と思って貰える様な、良い所など何もないのだ。消えてしまいたい、毎日そう考え裏でこっそり泣く様になっていった。涙が枯れると疲れて眠りにつく。その繰り返しだった。まるで生き地獄。俺はいつまで生きているのだろう、何の役にも立てない癖に。自分にうんざりしていた。失望されて当然、きっと先生も俺が生徒になった事を後悔しているに違いない。そう思ってしまって、辛かった。助けて貰った癖に命の恩人でさえも俺は疑うのか、そう考え、益々自分を責めた。死ぬ勇気がないから、いざ死のうと思っても死ねないのだ。過去が頭に刻まれて、何をしている時も離れず、何もかもが上手く行かなかった。大切な者を守れなかった俺へ罰が与えられているのだと、この苦しみが、俺への罰なのだろうと思っても辛さは消えなかった。もう、生きていたくない。誰か……俺を……殺してくれ。ふとそう思った。皆にはいつもの俺を見せているがもうそれを演じるのも疲れてしまった。大切な相手に迷惑を掛けたくなくて、誤魔化していたが……、もう限界だ。そう考えているとミスター銀さんの声が聞こえた。「ミスターマネー!何でこんなとこに居るんだ?」「ミスター銀さん」「?マネー、何で泣いてんだ?何か辛い事でもあったのか?」「貴様は……俺を友人だと思えるか?」「当然じゃねーか!」「だが俺は貴様らの何の役にも立てていないだろう?居るだけで迷惑なこんな奴と友人など普通は有り得ないぞ?」「何言ってんだ、役に立ってるじゃねーかお前は」「では聞くが何処がだ?」「優しくて、一生懸命で、家族想いで、仲間想いで、自分を犠牲にしてでも仲間を守ろうとしてくれる。いざと言う時は眼鏡を外して敵に立ち向かってくれるし、お前にはお前のいい所があるんだ。一つもいい所がない奴なんて、この世にはいないんだよ」「し、しかし、俺は弱いし」「弱い?俺だって弱いんだからお互い様だろ?戦闘向けなスキルなんて俺も持ってねーよ」「お前は何度やられても立ち上がるじゃねーか。強さはな、心にも使うんだよ。お前は心が強い、だからそんなに自分を責めんな。」「しかし銀さんは優しいが俺は………。」「お前も優しいじゃねーか!仲間の為にとあんなに一生懸命頑張っていて、なのに挫けずいられるなんてお前にしか出来ないぜ!」ミスター銀さんのその笑顔で、俺は救われた気がした。すると今度は安心して、涙が出てきた。いつから俺はこんなに泣き虫になってしまったのかは解らないが、ミスター銀さんは俺を好きでいてくれるから。少しだけ、少しだけ、甘えてもいいだろうか。「おい、銀さん」「なんだ?ってうわ!また泣いてんの?もしかして俺何か酷い事言っちまったか?」「い、いいや、そうではなく……!暫く側にいてくれないか?今日は、その………何だか人の温もりが恋しくてだな」「勿論いいぜ!こっちにおいで」「……ほらよ(ギュッ」「っ!うぅ……(泣)」銀さんは暖かい、心が癒される。あんなにも辛くて苦しかったのが嘘みたいだ。そうだ、何を疑っていたんだ俺は。銀さんや皆はとても優しく、暖かい、素敵な仲間達ではないか。「好きなだけ泣きな、ここにはお前を責める奴なんかいないんだからよ」
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