私には、親友がいた。
古田すずと、蓮堂みさき
2人とは、本当に仲が良かった。
お揃いのボールペンを買ったり、
何も喋らなくても、ことばが通じる関係だった、はずだった。
友達じゃなくなるなんて、
親友じゃなくなるなんて、
そんなこと、考えたこともなかった。
でも、そんな関係は唐突に途切れた。
いきなり。
本当にいきなりだった。
私が、無視されるようになったのは。
本当に、なぜそんなことになったのかは今でもわからない。
なんでなのか、ずっと考えているけれど、答えに辿り着けない。
見えない答えに手を伸ばす。
わからない。
なんで。なんで。なんで。なんで。
いつまでも迷い続けるのは、もう、つかれた。
孤立した私にとって、学校は憂鬱でしかなかった。
1人で過ごす昼休み。
ぼっちだと囁かれる声がし、惨めな気分にならないはずがなかった。
辛くて、悲しくて、絶望のどん底に落ちてゆく。
なんでこうなったんだろう。
本当に、わからなかった。
私は、何をしてしまったのだろう。
2人は今同じ班で、私は違う。
つまり、すずとみさきは授業中だって、班活動の時だって喋れるということだ。
でもそんなことは今までよくあったし、気にする必要はないと思っていた。
だけど
いつもなら、誰かが絶対にいたはずなのに。
誰もいない。隣に手を伸ばしても、空を切るだけ。
言い訳ばかりが当たり前になった。
きっと、2人は私を嫌いになんかなってない。
2人だけの話に夢中になってるだけ。
そうやって自分に言い聞かせた。
分かっている。そんなの、違うって。
嫌われたんだって。
必死に2人との思い出を浮かべたけれど、それでも、2人がいない寂しさは埋まらなかった。
そっと、お揃いのボールペンをにぎった。
「あの頃の私たちに、戻りたいよ。」
誰もいない事実に耐えられず、私は同じ班の西村桃と、桃と仲のいい隣のクラスの、早山凛と一緒にいるようになった。
「結局私は弱いんだ。」
この前先生にも言われた。
「自分に弱すぎ。」
そんな先生の鋭い声が脳内に蘇ってきて、頭が痛い。
桃と凛は、インキャだったけど、それでも1人でいるよりはマシだった。
恋バナとか、明るい話ばかりで、全然暗くない。
それが私にとって、良かったのか、悪かったのかはわからない。
でも、2人といれば、もしかしたら全部忘れられるかな、と思った。
すずと、みさきの面影が、重ならないから。
どうしても、教室にいると2人が視界に入ってしまい、胸が苦しくなった。
目が焼けるように痛い。
怖くて、教室に入れない。
数日後、私は先生に相談をした。
2人を怒ってほしかったんじゃない。
私は2人と、話したかった。
でも、2人は先生の前では本音を言わず、結局話し合いは無意味だった。
勇気を出したつもりだった。
なのに、やっぱり無意味で。
「本当のこと、いってよ。」
そう、小さく呟いた。
心が、痛くて潰れそうになった。
桃と凛には、まだ相談できていないし、やっぱり周りからはインキャと言われる。
でも、仕方なかった。
そんなこと気にしてる余裕なんてないのだ。
誰でもいいから。
だから、私を認めて欲しかった。
クラスの数人には相談したけれど、面白がられるだけ。
状況は変わらないまま。
私たちは、最初から間違ってた?
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