テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
(🐿視点)
たっくんの寝顔をしばらく眺めていると、ぴく、と睫毛が動いた気がして、慌てて机から身体を離した。
「、ん、……」
たっくんはゆっくりと身体を起こすと、まだ眠そうに目を細めて俺を見た。
「……え、……俺、寝てた、?」
「うん、…お疲れさま、たっくん。」
「…ごめん、放置しちゃって…。…今、何時、?」
「えーっと、23時過ぎ、?たっくん疲れてるし、俺そろそろ帰るね、」
「…ん、…まって、送る。」
起きたばかりのぽやぽやとした声でそう言いながら、車のキーに手を伸ばそうとするたっくんに、俺は慌てて両手を振って拒否をした。
「えっ、いや、いいって!俺歩いて帰るし、」
「何言ってんの、危ないだろ。」
「いや男なんやけん、大丈夫やって。あと結構家近かったし!」
「ダメっつってんだろ。いいから乗ってって。」
「っ、い、いいって!もう行くけん、バイバイ…っ!たっくん、」
これ以上迷惑かけるわけにはいかないと、玄関に向かおうとドアノブに手を掛けた瞬間、たっくんに腕を掴まれる。
「まって。じゃあ俺も行く。」
「……っ、は、?」
「俺も歩くから。」
「っ、い、いやいやいや!!そんなんもっと疲れるやん!何言いようと…っ、!」
「いーの。ちょっと寝たし。俺、明日休みだし。」
「え、、」
何としてもたっくんの行動を止めなきゃいけないところなのに、さらりと、たっくんが言った”明日休み”という言葉で頭が埋め尽くされてしまう。
明日、休み。
……また、誘っても、いいんかな、、
「ほら行くよ。」
「っ、え、あ、…まっ、まって、!」
頭が働かないままたっくんに引っ張られて、結局そのまま一緒に歩くことになってしまった。
***
「…ごめんね、すっかり遅くなっちゃって。」
「ううん。こっちこそごめん、結局歩いてもらっとうし…、」
2人で謝り合いながら、静かな夜道を歩いていく。
疲れてるのに申し訳ないと思いながらも、まだたっくんとこうして話せるのは、内心では嬉しいと思っていた。
……でも、あんまり付き合わせるわけにもいかんよね。
「たっくん、」
「ん?」
「……途中さ、コンビニあったやん。あそこまででいいけん。」
「え?なんで?」
「なんででも。さすがに家までは俺も申し訳ないけん、」
「…わかった。じゃあコンビニまでね?」
「うん、ありがと、」
会話が終わり、少しだけ間が空いて、なんだか緊張が走った。
なに、話そう。
ああ早く、話さないと。
貴重な時間なんやけん。
「リュウキ、」
「っ、ん、?」
「……それ、まだちゃんと付けてんだ?笑」
「え?」
「これ。」
歩きながら、たっくんが俺のカバンについているキーホルダーに触れた。
たっくんと初めて遊んだ日に、ゲーセンで取れて、俺にくれた謎のキャラクターのキーホルダー。
「え、当たり前やん。たっくんがくれたんやけん、」
「……実は気に入ってんじゃなくて?笑」
「いや、全然?自分で取っとったらトムにあげとう。笑」
「ぶっ、ふふ…っ、素直だな…っ、」
「だって可愛くないやん!笑」
「おいそれ以上言うなって…っ、笑」
あははっ、と2人で笑いながら、あの日車の中でも、同じ会話で笑い合ったのを思い出す。
「え、たっくんは?」
「ん?」
「俺があげたやつ、ちゃんと持っとうよね?」
「うん、持ってるよ。」
「……どこ?」
財布を持っているだけのたっくんからは、もちろんキーホルダーは見当たらないけど、気になって、どこ?なんて聞いてみる。
「事務所のデスクに置いてる」
「えー、家やないと?」
「うん、家より事務所にいる時間のが長いから。」
そういえば家になかったな、なんて少し拗ねてみると、そう返事が返ってきた。
……ん?
家より長いって、、え、???
「っ、え?それってさ、そっちのが長い時間一緒やからってこと…っ、?!」
「……嬉しい、?笑」
「…っ、//」
にやっ、と俺を見て、煽りなのかなんなのか、そんな事を言ってくるたっくんに、まんまと嬉しくなってしまう俺。
「…っ、たっくん、俺が喜ぶん、分かって言っとうやろ…っ、!/」
「ふふっ、…ごめん、ついね。可愛いから。」
「っ、…ぅ…/」
可愛いとは言われたくないけど、俺を見ながら、微笑んでそう言われたら、さすがに食らってしまう。
「……リュウキ、」
「な、なん…っ、」
「コンビニ着いたよ、」
「えっ?」
たっくんから目を離して前に視線をやると、夜道の中で、コンビニの照明がやたらと眩しく光っていた。
自分から、コンビニまでって言ったのに。
あー、やだな。
……たっくんと、もっと一緒におりたい。
「……たっくん、俺、アイス奢ったげる。」
「え、?アイス?」
「ん〜、今日のお礼、?大したことないけど。」
「……いいの?」
「うん、もちろん。…ね、やけん、行こ、?」
「え、ちょっ、リュウキ…っ、」
少しでも一緒にいたくて、アイスを口実に、たっくんの腕を引っ張ってコンビニに入った。
……
コンビニで買ったアイスを持って、すぐ近くの防波堤に2人で腰掛けた。
「リュウキ、アイスありがと。」
「ううん、俺の方こそありがとうね、たっくん。」
アイスを食べながら少し振り返って、後ろに広がる海を眺めた。
「おい、落ちんなよ。笑」
「落ちんって!笑」
俺にそう突っ込んだくせに、たっくんも同じように振り返って、海を眺め始めた。
「え、自分もやっとうやん。笑」
「リュウキがそっち向くからやろ。」
「なんで俺に合わせるん?」
「別に?……落ちないか見てないと。笑」
「おい、俺、運動神経ええけん!」
「運動神経関係ないだろ。笑」
くすくすと笑い合って、また海に視線を戻した。
下の方に目をやると、ラン兄やカイリュウが働いている海の家が見えた。
……またラン兄に、今日の事、報告しなきゃな。
「リュウキ、おいっ、アイス溶けてる、!」
「えっ?!」
その声に慌ててアイスに目をやるも一足遅くて、手に垂れそうになって焦った瞬間、たっくんが俺の手を掴んだ。
そのままグイッと手を引っ張られて、たっくんが俺のアイスを下から齧り、垂れそうで焦ったドキドキと、たっくんの顔が近づいたドキドキで、鼓動が急激に速くなる。
「あっ、ぶね、、」
小さくそう呟いて、ぺろっ、と舌なめずりをしたたっくんが、なんだか妙に色気があって思わず目を逸らしてしまった。
やばい……なんか、見ちゃいけんもん、見た気がする、、
ドキドキが、治まるどころか、どんどんと加速していく。
「……あ、ごめん、食べちゃった。」
「っ、、/」
はっ、?
いやいやいやいや!!
人の気も知らんで、何を呑気に言うとんや…!!
あぁもう。
本当に、俺、この人の沼に、どっぷり浸かっとるやんけ、
……そんなの、分かっとうけどさ。
「……たっくん、…あ、あげる。」
「え、?」
「もうお腹いっぱいやけん、」
「そうなん?じゃあ、…ありがと。」
自分のアイスを食べ終わっていたたっくんに、俺の残りのアイスを差し出した。
……なんとなく、たっくんが食べた後に、食べちゃ、いけないような気がして。
「ごちそうさま。」
「っ、…あ、うん…っ、」
「……帰ろっか、?」
食べ終わったたっくんが防波堤から降りて、俺の方を見てそう言った。
……あ、
そっか。
もう、帰んなくちゃ。
「……リュウキ、?」
防波堤から降りない俺を見て、たっくんが名前を呼ぶ。
“俺、明日休みだし”
たっくんのあの言葉が、頭を過ぎった。
「……たっくん。…わがまま言ってもいい?」
「…なに、?」
「………明日、…また、会いたい、」
今日、色々、困らせちゃったのに。
気持ちを、抑えられなかった。
静寂に耐えられなくて、たっくんの顔が見れず
に、俯いた。
「………じゃあ、ここ集合ね。」
「っ、え、?…いーの、?」
聞こえてきたたっくんの声に、思わず顔を上げた。
俺と目が合い、ふっ、と笑い出す。
「……でも、次はちゃんと声掛けろよ?笑」
「っ、わかっとうって、!!/」
ふふっ、と笑って、たっくんが俺に手を差し出してくる。
「え、?なん、?」
「……あれ?降りられなくなっちゃったんじゃないの?笑」
「いや違うけん、!/」
「ふふっ、、はいはい。じゃあ早く降りてきて?」
すっ、と差し出した手を下げたたっくんに、ちょっと惜しいことしたかも、なんて、内心少しだけ後悔する。
防波堤を降りた途端、じゃあね、と言ったたっくんに、急に寂しさが込み上げてくる。
……あーあ。今日、楽しかったな。
「……リュウキ?」
「……じゃあね、たっくん。ありがとう。」
明日も会えるんやけん、ここは我慢や。
そう思いながら必死に、ありがとうとお礼を言った。
「……ありがとね、リュウキ。……楽しかった。」
「っ、!…俺も、楽しかった…っ、」
“楽しかった”
そう言って微笑んでくれたたっくんを見て、ちゃんと楽しんでくれたんやって、胸が締め付けられるくらい嬉しくなる。
「ふふっ。なら良かった。…ばいばい、また明日ね。」
ばいばい、と言いながら、俺の頭をぽんぽんと触って、手を振ってたっくんは帰っていった。
また触れられたことに喜びそうになったけど、今度はちゃんと、たっくんに聞こえてしまわないように声をころして、姿が遠くなるまで、しばらく見つめていた。
ーーーーーーーーーー
(🐰視点)
“セイトが好きなのは、カイリュウやもんな”
……なんで、”そうやで”って、言えへんかったんやろ。
エイキの言葉で、自分の気持ちがカイリュウとナオの間で揺れ動いていることを自覚して、酷く混乱した。
まだ自分の中でも感情に整理がつかないまま、今日も海の家へと足を運ぶ。
店に足を踏み入れると、カイリュウの声が聞こえてきた。
「ナオヤ。お前、エイキと話したんやろ。」
“エイキ”という名前が聞こえてきて、思わず、ぴく、と耳が反応する。
物音を立てないようにカウンターの奥を覗き込むと、カイリュウとナオの後ろ姿が見えた。
どうやらまだ俺に気付いてない様子の2人を確認すると、悪いと思いながらも、会話の続きが気になって、死角に身を潜めた。
「…なんで、?」
「見とったらわかるわ。なんか最近、顔明るなったやん。」
「っ、…ほんま、何でもわかるんやなぁ、カイリュウって…」
「お前がわかりやすいねん。……でも、まぁ、良かったやん。」
「……うん、エイキと話せて、ほんまに良かったなって思ってる。」
「……お前、ちゃんと本気やったんやろ、あいつのこと。」
「……うん。ちゃんと、伝えたから。……本気やったって、言えたよ。今更やけどな…っ、?」
2人の会話に、ナオとエイキが元恋人同士だったという事実をやけに生々しく実感させられ、途端に胸がザワザワと嫌な音を立て始めた。
……元恋人なんやから、ナオとエイキがお互いに想い合ってたんは、当たり前のことで。
でも実際にナオの口から、本気やった、なんて聞くと、自分でも驚く程に食らってしまうものがあった。
エイキがナオにとって特別な存在だったことを改めて思い知らされて、凹んでいる自分がいることに気づく。
……ナオは、今、エイキの事、どう思ってんねやろ。
「なにしてんすか、」
「っ、うわっ、!!」
いきなり後ろから声を掛けられ、びっくりして腰を抜かしそうになりながら振り向くと、目を丸くしたランがそこに立っていた。
……あ、あかん、でかい声出てもうた、、っ、
「……あれっ、?セイちゃん、ランちゃん、おはよ〜?今来たん?」
「なんやでっかい声聞こえたで」
俺の声に反応して、ナオとカイリュウが奥からバタバタとやってきた。
「あぁ、や、なんでもあらへん!ランが急に来て、びっくりしてもうてん…っ、ひ、久しぶりやな、ラン、?」
「え、?あ、はい…、そうすね、?」
ダンサーの仕事で休んでいたランに、その事を持ち出しながらその場を取り繕った。
少し不思議そうな顔で俺を見ながらも、ランが特に何も言わずにいることに内心安堵する。
「ラン、おはよ。…久々やな、?」
「おはよ、…うん、久々やね、?」
カイリュウがランに声を掛けると、久しぶりに会って気恥ずかしいのかなんなのか、なんだか2人の間にドギマギした空気が流れているのを感じた。
「……あれ〜、?なに〜?カイリュウとランちゃん、なんでそんな感じな〜ん?♡」
「そんな感じって、なにがやねん?」
「な〜んか、照れてへ〜ん?♡」
「な、なんで照れんねん、…な、ラン…っ、?」
「、そやね、…てか、久々でもないやん、」
「え、?」
「え?って。……電話したやん。」
「っ、…おま、!アホ……っ、
「え〜?!♡なにもう!あんたら、ナオが知らんとこで電話なんてしてるん〜?!え、なになに、どっちから?どっちから掛けた〜ん?♡」
「おま…っ、も、うっさいねん!…ラン、掃除や掃除、!はよ来いっ、」
「え、ちょ、おい待ってカイリュウ、!」
3人のやり取りをぼやっと眺めていると、ナオのからかいに耐えられなくなったのか、カイリュウがランを連れてさっさと向こうに行ってしまった。
その場が急に静かになり、ふとナオと2人になったことに気付いて、なんだか急に鼓動が速くなる。
「……セイちゃん、」
「っ、ん…、?」
「…ごめんね、?…もしかして、今、…ナオ、余計なこと言ってもうた、?」
「え、?なんのこと、、?」
「……っ、だって、…セイちゃんは、カイリュウのこと、…すきやんな。…せやったら、どっちが電話したかー、とか、知りたないはずやのに、…ナオ、つい茶化してもうて…、気利かへんくて……ごめんね、」
「……、え…、?」
しゅんとした顔でそんな事を言うナオに、心底びっくりしてしまった。
……俺、そんなこと、今、なんも気にせんと、ぼやっとみんなの会話聞いてたやん。
……さすがに、自覚せんと、あかんのとちゃうん。
「…ごめんね、セイちゃん。……あ、荷物、運ぶな…っ、?」
なんだか元気がなくなってしまったナオに、そんな顔見たくないなんて、思ってしまう。
「っ…まって?ナオ、違うねん、俺ほんまにぼーっとしとっただけで!そんなんひとつも…っ、」
「っ、え、セイちゃん、?」
誤解してほしくない一心で、思わず荷物を運ぼうとしたナオの腕を掴んだ。
丸い目をして驚くナオを、必死に見つめた。
「っ、…せやから、そんな顔、せんでや…、」
「え…、?」
「ナオには、笑っといてほしいねん、」
無意識に、そんな言葉まで言ってのけた。
でも、それはほんまの事で。
ぎゅっ、と一瞬強く腕を握ると、少し俺を見つめた後、困ったような顔でナオは笑った。
「…っ、え〜、?もう…っ、せーちゃん、優しいんやから…っ。ほんまにありがとうね、?」
そう言いながら、俺の元から離れて荷物を運び始めた。
その後を追うように、荷物に手を掛けるとナオの方へ向かった。
「……なぁ、ナオ、」
「…ん〜、?」
荷物を開けて確認をしているナオの隣に行って、その横顔に話しかける。
……頭の中には、さっきここで、カイリュウと繰り広げられていた、ナオとエイキの話が浮かんでいた。
「……ナオって、エイキと付き合っとったんやろ。」
「っ、え、?」
「…エイキから聞いてん。」
「……っ、…そう、なんや、?……うん。そやね、付き合ってたよ、エイキと。」
「……うん、せやんな、」
話しながら、ナオの横に移動させた荷物が、やたらと重く感じた。
付き合ってたことなんてとっくに知ってるのに、……なんなら自分から聞いたくせに、何をショック受けとんのやろ、俺は。
「…なんて、?」
「え、?」
「エイキ、ナオの事、なんて言うてた、?」
「……、気になんねや。」
「え、え〜…?そりゃあ、ちょっとは気になるよ、?」
やっぱりエイキの事、また気になってんとちゃうん、…なんて考えて、無意識に拗ねたような声を出してしまった。
「……ナオと会って、話してきたって。……いい思い出にできたって、言うてた。」
「っ…、そっか、、良かった…っ、」
良かった、と言ったナオの顔は、見た事のない優しい表情をしていて。
きっと今、エイキの顔を思い浮かべたんやと、すぐに分かった。
“ちゃんと、いい思い出にできたから”
……あの時のエイキと、同じ顔を、してたから。
2人の表情が頭の中で重なって、胸がちくちくと痛み出す。
なんで、エイキの事、聞いてもうたんやろ。
でも、知りたかった。
ナオが、エイキの事を、どう思ってるのか。
「……なぁ、ナオ…っ、」
意を決して口を開いた瞬間、ナオのスマホの着信音が鳴り響いた。
画面を確認して、少し焦ったようにナオが俺を見た。
「っ、…セイちゃんごめん、ちょっと電話してくるなっ、?」
足早に店の外へと出ていったナオを眺めながら、聞きたかった気持ちと、聞けなくて良かったという気持ちの両方が、胸の中でせめぎ合っていた。
***
(🦅視点)
店が閉店して、後片付けやら閉店後の作業をしていると、いつも外は真っ暗になっている。
「ラン、おつかれさん。また明日なー」
「うん、おつかれ。また明日ね」
カイリュウが俺に声を掛け、店を後にする。
俺もそろそろ帰ろうかなと、他にやる事が無かったかを確認していると、締め作業を終えたナオヤが俺のところへやってきた。
「ランちゃん。後はナオがやっとくから、はよ帰りや?」
「あ、うん、…他にやる事ない?大丈夫?」
「も〜、大丈夫やって!ほらっ、はよせな外真っ暗、、」
話している途中で、急にナオヤのスマホが鳴り始める。
ポケットからスマホを取り出した後、少し画面を見つめ、再びポケットにしまうナオヤ。
「……ナオヤ、?電話、出らんでいいと?」
「あぁ、うん…っ、ねぇほら、ランちゃん早く!」
「え、ちょっ、なんっ、?」
「ほらもう、行った行った!ばいば〜い!また明日ねっ、!」
「あっ、え、?おい、ナオヤ…っ、」
ぐいぐいと俺を店の外に押し出すと、1人で中に戻っていった。
ナオヤの強引さがちょっと気になったけど、外に出てしまった手前、お言葉に甘える事にして、そのまま帰路に着いた。
……
「……あ、」
帰っている途中で、忘れ物をした事に気付く。
後ろを振り返り、まだ引き返せる距離と判断して、再び海の家へと足を向けた。
近くまで来ると、まだ店の明かりがついていることにホッとしながら、海に続く階段を降りかけた時、店の近くにナオヤの姿が見えた。
「ちょっ、…も、離してや…っ、!」
姿が見えた瞬間、ナオヤが知らない男に腕を掴まれている事に気付いて、焦って助けに行こうとするも、俺に気付いたのかすぐに男は逃げていった。
慌てて、1人になったナオヤに走り寄った。
「っ、ナオヤ…!」
「えっ、ランちゃん…っ、?」
「さっきの何?大丈夫、?」
「…えっ、?あぁっ、あはは…っ、ちょっと声掛けられただけ!大丈夫やで…っ、?」
「……本当に、?」
「ほんまやって…っ、てかランちゃんこそどないしてん…っ、あ!忘れ物っ、?カウンターに置いてあったで、?」
話を逸らすように店に入ったナオヤを追うと、俺の忘れ物を見つけ、それを手に取って差し出してきた。
「はいっ、これやんな、?」
「…うん、ありがと、」
「気をつけて帰ってな?」
「…ナオヤ、もう終わったん?なら一緒に帰ろ、なんか心配やけん」
「えっ、?ええって!ほら、ナオ家近いし!も〜ランちゃんってば、ほんまにお節介なんやから〜、、」
「…本当に、何もないん?」
「…ないよ、?……あ、せやっ、ナオ、まだやる事あるんやった!…じゃあねっ、?ランちゃん、」
「っ、…うん、じゃあ、また明日な…?」
なにやら忙しそうにし始めたナオヤに、それ以上何かを聞くともできなくて、違和感を感じながらも、再び店を出た。
コメント
7件
更新嬉しいです💕せちおあとちょっと頑張ってくれー!

更新ありがとうございます!! 今回もめっちゃ素敵でした💕 リュウキからコンビニまででいいって言ったのに、コンビニに着いたら寂しくなっちゃうの可愛すぎます たっくんも、リュウキが寂しいって思ってるのに気づいてるのかな? セイちゃんが、ちょっとずつナオちゃんに惹かれてってるのが、早く気づけ〜!ってドキドキ感がマシマシです💞 ランカイが電話してたの尊くて大好きです💘 次回も更新楽しみに待ってます!!

せちお、、、、よくやったよ❗️ と同時にタイミング悪く、、、、なおちゃんとまたすれ違い生活か、、、?😢