……
しーん、と静まる部屋の中。
オレの啜り泣く声が異様に響いて、「オレはロゼが、本当に大好きだった」と自覚する。
いや、今も大好きだが、
どうして……どうして死んでしまったのだろうか。
あぁ、もっと早くに伝えていれば良かった。
ロゼが好きだ、大好きだ、と。
本当の名前も知らない仲だったけど、大好きだったんだ。
オレの人生を捧げていたかった。
オレの恋心を知られないままでも良かったんだ。
ただ、捧げていたかったんだ。
オレの全てを、知って欲しかった。
ロゼの全てを、知りたかった。
本当の名前、なんて言うんだろうか。
「ロゼ……、死ぬなら、オレの手で、死んで欲しかったな……」
ロゼの初恋も、最期も、ロゼの全てが、オレであって欲しかった。
初めても最後も、全部オレが良かった。
死ぬなら、自分の手で死んでしまって欲しかった。
お前が苦しいなら、オレも苦しくて。
お前が嬉しいなら、オレも嬉しくて。
お前が悲しいなら、オレも悲しいよ。
お前が死んだなら、オレは誰よりも悲しむ。
お前が許すのなら、オレも許せなくても許す。
お前の全てが、オレの全てなんだ。
本当に、大好きなんだ。
どんなに醜くても、どんなに暗くても。
オレはきっと、お前を好きになった。
「ロゼ、お前は何故……クォーツを持っていたんだ、半分に割れているのに、大切そうに手に持っていたんだ…」
お前の全てを知りたくて。
でも、知れなかった。
生命が終わること。
それは分かっていたはずだ。
お前はどうして、そんなに優しく笑えるのに。
人のために全力を尽くせるのに。
オレは、そんなに優しく笑えないし。
ロゼ以外の人の為だけに尽くせない。
おれが、しねばよかった
おまえのかわりに、おれが。
____『お兄ちゃん、知ってる?』
____『等価交換することで、人を生き返らせることも、死なせることも、存在しない物を作れる「悪魔」が居るって』
____『その「悪魔」はね、』
____『人の命と引き換えに、なんでもしてくれるんだって。』
______そうか。
そうすれば。
それでも、オレの命を「はいどうぞ」と引き渡すわけには行かないだろう。
監獄で、死刑宣告された物をふたり、集めてこよう
類のために犠牲になれるんだから、感謝してもらわないとな……はは、
王は、今。
ロゼになれる者を探している。
でも、どうしても見つからなくて。
『私が命に換えても、ロゼを見つけて来ます』
と約束をした。
悪魔と契約するのは、この国では許されている。
だが、引き換えの命は処刑宣告された者を使うという条件。
なら、オレも契約しよう。
翌日
悪魔召喚の儀式を行うと、橙の髪に、前髪に少し黄色のメッシュが入っていて……一言で表すと、とても人間らしい悪魔だった。
「おい」
「なんだ」
話し掛けてきたのはあちらから。
『引き換えで何をするのか』や、『犠牲になる者』、その他諸々話す。
どうやらその悪魔は『アキト』という名らしく、かなり上位の悪魔らしい。
下位の悪魔は人の形すら成していないそうだ。
「じゃ、早く犠牲にする人間。」
「こっちだ」
案内していると、「こいつらは処刑が決まった奴らか、うるせぇな……」と文句を呟いていた。
「この2人だ。」
「おい、騎士団長サマが悪魔と契約かよ、良いのかそれ!!」
「俺らは悪魔と契約したせいでここにいるのに、そっちはなんだよ!!騎士団長だから許されるのかよ!!!!」
煩い。
とにかく煩い。
だから気に食わない。
だから悪魔に食わせる。
悲鳴を上げなければいいが。
「もう食っていいのか?」
「いいぞ」
いい味はしなさそうだな、と呟く。
「……で、『この国のロゼを生き返らせる』、だったか?もうひとつ、願い事を叶えてやれるが」
ロゼを生き返らせるには死体が必要、と言われたので持ってきたが、『もうひとつ』叶えられる。
その『もうひとつ』は、オレにとって必要な物だった。
欲しかったもの、だった
𝕟𝕖𝕩𝕥➯➱➩♡517
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