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「――それ以上は、無駄ですよ。害虫さん」
現れたのは、冷徹な雰囲気を纏った白石さん。その傍らには、腕を組んだ佐藤と、タブレットを持った王子谷が立っていた。
「……悪いな常務。アンタからは黒いログが漏れまくってんだよ」
会議室の照明が落ちる。 スクリーンに映し出されたのは、僕たちが協力して集めた「証拠」の数々だった。会社売却の相談メール、持ち出された機密データのアクセスログ、そして――。
『……他の役員共には裏金を握らせた』
スピーカーから溢れ出したのは、ベッドの軋む生々しい音。そして、会社を踏み台としか思っていない常務と涼香の、鮮明な密談音声だった。
「なっ……何を……! 捏造だ、こんなもの!」
顔面を蒼白にし、狼狽する常務。そこに、王子谷が追い打ちをかけるように淡々と告げた。
「ちなみに、交渉中の売却先候補の企業……与信管理システムに『取引停止推奨』で入力済みっす。 法務部の正式な承認もとったんで、もうどこにも売れないっすね」
「なっ……バカな……っ!!」
その時、扉が静かに開かれ、白石さんの父――専務が、絶対的な威厳を伴って会議室へと足を踏み入れた。
「社長に免じて、これまでの不始末にはある程度目をつぶってやったが……蓮、貴様は本日付で解任する」
「ふん……私をクビにしたところで、裏金はすでに海外へ移した。痛くも痒くもない!」
「ああ、あのスイスの口座か? 残念だったな。休暇ついでに現地で貴様の口座を凍結して、告訴状も置いてきてやったぞ!」
「なっ……バカな……!? なぜ場所を……!」
「わしを出し抜けると思ったか。娘と会社を食い物にするゴミは、全消去してやるわ。ガハハハッ!」
絶望する常務の前に、専務がもう一人の男を招き入れた。蓮がその座を奪うため、卑劣な濡れ衣を着せて地方の工場へと追いやった――彼の実の兄だった。
「蓮、お前が現場にデータ不正を強要していたことも、それを拒んだ俺をハメたことも、すべて専務に報告させてもらったよ」
「……兄さん!? なぜここに!」
「蓮、お前が現場に不正を強要していたことも、すべて専務に報告させてもらったよ」
専務が兄の肩を叩く。
「本日付で、この男を次期社長候補として常務に任命する。現場の汗を知らぬ貴様と違い、彼は職人たちから最も信頼されている……わしが認めた、真のエリートだ」
「嘘だ……あんな泥臭い奴が、俺の代わりに……っ!」
その絶叫を切り裂くように、会議室の扉が開け放たれた。
「捜査二課だ。白石蓮、ならびに蓮沼涼香。……同行願おうか」
「離して! 私は蓮に脅されていただけよ!」
「嘘をつけ! そもそもお前のせいで……!」
二人は醜い責任の押し付け合いをしながら取り押さえられた。涼香が狂ったように暴れ、警官の腕を振り払おうとした――その時だった。
――パキッ、ミリミリ。
布が裂ける音とは違う、内部構造が決壊する不吉な音が響いた。 次の瞬間、彼女の左胸がみるみるうちに「陥没」し、代わりに脇腹のあたりが不自然にポコッと膨れ上がった。
「……えっ」
一瞬、静寂が会議室を支配した。激しく暴れたせいで、シリコンの着け乳が裂け、服の中で大移動を起こしたのだ。あらぬ場所に移動した「ブツ」を凝視したまま、涼香は魂が抜けたように硬直した。
二人はガチャンと手錠をかけられ、文字通り「ボロ」を出したまま連行されていった。 静かになった室内で、佐藤が膝から崩れ落ち、天を仰いだ。
「……嘘だろ。まさかあの乳が……俺のSSR(※偽物)がああああ!!」
(……そこ、怒るとこか?)