「…………月が傾く前に出会えて良かった。」
震える声で呟く。
アルカは私を見つめ、目を見開く。
聞こえちゃったかしら……
「い、今……なんて?」
「……月が傾く前に出会えて良かったわ、アルカ……」
今度ははっきりと、聞こえるように言った。
星の方が綺麗って言った方が面白かったかしら?
そんな考えも吹き飛ぶ程に、彼の表情はあまりにも無邪気で、愛おしかった。
「あ、え? そ、それ…ホント?」
「星の方が綺麗って言って欲しかった?」
「そ、そんなことないっ! 嬉しいよ!?」
「…そう。ならよかった。」
2人で肩を並べて、ぼーっと星空を眺める。
「こんな世界でも、空は綺麗なのね…」
「そうだね……すっごく綺麗…」
二人だけの空間に、風の音だけが響く。
少し肌寒いような気がしたけど、アルカが抱きついてくるので、そこまで寒くはない。
「短い髪も綺麗だよ……」
そう言って、私の短くなった髪を撫でる。
少しくすぐったくて思わず目を細める。
「……似合ってる…?」
「うん!めっちゃ似合ってる!」
こんな時間がずっと続けばいいのにね………
二人でずっと…星を眺めて…平和に過ごす……そんな日常が続いて欲しい…
でも……そんなわけにもいかないわよね……
ねぇ?そうでしょう?……神様……?
貴方からしたら、そんな日常はつまらないわよね…
「トウカ…」
アルカが静かに私を見つめながら、頬へと手を伸ばす。
今宵、星空の下 2人の影が重なった。
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