テラーノベル
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朝、和泉より早く起きたから、和泉を起こして『おはよう!』とくっついてみた。そしたら、飛び上がるほど狼狽された。
「だ、ダメだよ!」
ダメなのか? なんでダメなんだ?
……やっぱり、ワシの体が気持ち悪いからか?
たしかにワシの体変だ。でも、和泉が、よりによって和泉が、こんなに嫌がるなんて思わなかった……。
すごく悲しい。誰かに話を聞いてほしい。
星野さんに相談したいことがあるってLINEしたら、「どうしたの? うち来る?」と言われた。
なので、朝ご飯の時『午前、星野さんちに行ってくる』と和泉に伝えた。
「映画見に行くの?」
『いやその、ちょっと、おしゃべり』
「そっか、俺昨日の分取り返さなきゃいけないから、休みだけど仕事してるね」
……こいつ、昨日仕事放りだして服とか連絡とか病院とかやってくれたんだよなあ。ワシのこと気持ち悪いのにやってくれたのかなあ? 優しくていいやつだもんなあ、ワシが気持ち悪くても、それくらいするのかも……。
星野さんちに、コンビニのだけどお菓子を持っていってお邪魔した。
『おはよう、今日はありがとう』
「まあまあ、どうしたの?」
客間でお茶を出してもらって、ワシは、和泉がワシのこと気持ち悪がってくっつかせてくれない、と星野さんに相談した。
『ワシのこと膝に乗せられないのはわかるけど、寝るときくっつかせてくれたっていいのに、させてくれない……』
そう言うと、星野さんは目をむいた。
「え、ちょっと待ってどういうこと、膝に乗ったり一緒に寝たりしてるの!?」
え、そんなに変なこと言ったか?
『えっと、姿変えられる時は小さい子供になったら膝に乗せてくれて、おばけの姿になったら寝る時巻き付かせてくれた』
「あ、今の格好ではさすがにしないわよね」
星野さんはほっとため息を付いた。え、今はダメなのか!?
『今の格好だと変なのか!? 服着てれば大丈夫だと思うけど変なのか!?』
「いや、良識ある男の人なら、今の千歳ちゃんくらいの女の子を膝に乗せたり一緒に寝たりしないわよ!」
『へ?』
女の子?
『ワシ、女じゃないけど』
「え!?」
『いや、男でもないけど』
「ええ!?」
星野さんはまた目をむいた。
『ワシ、普通の人と体違うんだ。昨日ワシ起きたら裸で、だから和泉ワシの体見たんだけど、それから合う服着るまでワシのことちゃんと見なかったし、服着てもくっつかせてくれなくなった、ワシの体が変だから気持ち悪いんだ、きっと……』
「ど、どんなことになってるの……?」
『……それは、恥ずかしいから、話したくない』
「そ、そう……」
星野さんは少し考えたけど、それから言った。
「いや、でも、和泉さん、千歳ちゃんを気持ち悪がってるなんてことないわよ、そんなだったら、和泉さんあんなに千歳ちゃんのこと心配しないわよ!」
『でも、ワシの裸本当に変だぞ……?』
「和泉さんは絶対に気持ち悪がってないから! 千歳ちゃんが今かわいすぎるから、くっついてきたらまずいって避けてるだけよ」
星野さんは熱弁した。
『そうかなあ……』
「和泉さんに、ちゃんとくっつかせてくれない理由を聞きなさい。絶対に大丈夫だから」
星野さんはそう励ましてくれたので、ワシはしばらくお茶とお菓子をごちそうになってから、お礼を言って帰った。
家に帰ったら、もう昼飯を作らなきゃいけない時間だった。和泉はいつもみたいに仕事してて、ワシを見て「おかえり、楽しかった?」と普通に聞いてきた。
『う、うん、まあ』
うーん、確かにこれは、全然ワシを嫌がってる態度じゃないよな……。
昼飯作って食べて、食べてる時に、和泉に「仕事、二時過ぎには終わりそう」と言われた。よし、こいつの仕事が終わったら、またくっついてみて、くっつかせてくれなかったらなんでだって問い詰めよう!
コメント
1件
あらためて千歳ちゃんの悩みが切なくて可愛い…!「ワシ女じゃないけど」「男でもないけど」って流れ、星野さんが慌てるのもわかるわ。でも和泉さんが心配してるのは確かだし、誤解が解けてくっつけるようになるといいなあ。
#幽霊
凛道桜嵐 新
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