精神病棟に入って数日。
ご飯も美味しいし設備もしっかりしている。
希望すれば、勉強も出来る。
娯楽場のような感じであった。
ただ…。この広々とした部屋に1人は辛い。
自分のベット横には3個のベットが並んでる。
………どんな子達なんだろう
仲良くなれるといいな。
もし治ってここから出られたらみんなで沢山遊びたいな。
気が合うといいな。
…自分のせいでみんなに迷惑かけないといいな。
そんなこと考えたら玄関の方からトントンと叩く音が聞こえた。
「JACKくーん?、入るねー!」
ボクのお世話担当の方だ。
担当の方がドアを開けた。
隣にはボクより少し上であろう男子がいる。
彼は無表情で、こちらを見つめてくる。
「この子が今日からJACKくんの同室の子だよ。2人とも挨拶して」
同室の…!!
「ああ えと、ボクJACKっていいます!気軽に呼んで欲しい!!」
「……!」
「お、おれアベ、アベヨースケ」
「えーと…アベちゃんって呼んでいいか?!」
「ぇ……ぁ……ぃ、いいよ…」
「………じゃあ……JACK…って呼んでいい…か?」
「当たり前だろ!これからよろしくな!」
「…うん、よろしく!」
それから担当の方はアベちゃんの説明とアベちゃんにボクの説明をしてくれた。
アベちゃんは、挨拶のとき1回も表情を変えなかった。
どうやら、学校でひどい仕打ちを受け、笑うことだけ出来なくなったらしい。
それからボクとアベちゃんで楽しい日々を過ごした。
図書館で沢山本を読んだり
一緒に勉強したりした。
アベちゃんはボクのひとつ上らしく、ボクより沢山のことを知っていた。
楽しかった。本当に楽しかった。
お互いを分かり合えたようで
おかしなことにアベちゃんといる間はアイツは出てこなかった。
「…おやすみ、アベちゃん」
「……うんおやすみ」
「明日も遊ぼうな!!」
「…うん…!」
『楽しそうにしやがって』
「ッぅ………」
「ッ…?!ど、どうしたのJACK…」
「大丈夫…大丈夫だ…」
「この前説明されたやつか…!?大丈夫か…?!」
『いいぞ。壊せよ。勘違い野郎がよ』
「ッ…クソ………」
「担当の人呼ぶか…?!」
「大丈夫だ…すぐ治る…」
「…だといいが…」
頭痛がすごい。
頭がかち割れそうだ。誰かに脳みそを抉られているような…、目の裏まで痛みがすごい。
「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”ッ!!!!」
「JACK!!じゃっ…、た、担当の人呼んでくるからな!!」
「クソがぁッ!!!!クソがぁッッッ!!!!!!!!」
どうやらアベちゃんが部屋備え付けの電話で担当の人に電話をしてるらしい。
「あのっ、あのJACKが…」
「JACKくん大丈夫?!」
「あ”ッう”ぅ”ッ…大丈夫ぅ”ッです…ッ”」
「痛み抑える薬持ってきたからね、飲める?」
「飲めます”ッ……」
「大丈夫だぞ…お、おれが…おれがいるからな…」
「アベちゃぁ”ッ………」
無心にアベちゃんの手を握った。
いつもは無表情のアベちゃんの顔も心配そうな顔をしている。
『いい気になりやがって』
「ッッあ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!」
「JACK、JACK、」
「ッあ…はぁ………」
「…!!大丈夫JACK?!」
「もう大丈夫だ……、…ありがとうアベちゃん…、担当の方も…わざわざありがとうございます…」
「ううん、大丈夫だよ〜。よかった、JACKくんが元気になってくれて」
「お、おれすっげえ心配だった…よかった…」
「ありがとうアベちゃん…」
「…もう大丈夫?JACKくん」
「あ、ああ大丈夫です」
「また何かあったら言ってね。アベくんもよろしくね。」
「じゃあおやすみなさい」
「うん、おやすみなさい先生」
「ありがとうございました、おやすみなさい」
玄関へ急いで、先生は部屋から出ていった。
「……じゃあおれたちも寝よっか、何かあったら呼んで」
「…ありがとう、アベちゃんもね。おやすみなさい」
「おやすみなさい」
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