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こげ丸
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〖アイビー〗
# 13
〔 青空視点 〕
午前9時。
寝坊しまくりな僕には早すぎる時間。
…成亜は、 昨日は自分の家に行ったから
起こしてくれる人はいないのに。
……あれ、僕…守られてた側だった?
今思えば、鍵も、連絡も、過保護も
|僕のため《ちがう》、だよね。
そう思うほうが、必然で、楽だった。
眠くて潰れそうな目を擦りながら
いつも通りリビングへ向かう。
「ぁ、おはよ」
夢…かな。
反射的に、自分の頬を引っ張る。
いないはずの成亜がいて、
いつも通りに、家事してる。
頬は、痛かった。
…夢じゃなくてよかった。
なんでそう思ったかはわかんない。
昨日、あんなに泣いてたのに。
なんで、平気なの?
今の空気を、壊したくなくて、
その気持ちに、蓋をした。
いつも通り、成亜に朝食のリクエストをして。
他愛もない会話をして。
なにも変わんない成亜に
…少し、引き止めてほしくなった。
確かめないと、落ち着かないから。
『今日、かなでと遊ぼ〜』
わざとらしすぎたかな…
なんて思いながら、料理をしてる成亜を横目で見る。
仕草も表情を変わってなくて
なんでか、むかっとする。
「ん、できたで」
『わ〜っ、うまそっ!』
テレビにでそうなくらいの朝食がでてきて、
思わず手を伸ばす。
「だ〜め」
『ッえ…?』
手は上から抑えられて。
昨日の成亜を思い出して、
びくッ、と体が反応する。
「んふ笑」
「はい、あ〜ん」
『ぇ、ぁ…あ〜⸝』
不思議と抵抗する気は全くおきなくて。
少し恥ずかしさを感じながら
おとなしく食べさせてもらう。
『…ごちそうさま』
「ん、お粗末さま」
よく食べました。
なんて言うように、僕の頭を優しく撫でる。
…嬉しいけど、ちょっと恥ずかしい。
なんだ、全然普通じゃん。
昨日の記憶が、川のように流れる。
手首に、細いチェーンが光る。
……外したら、わかるから。
思い出す前に、別のことを考える。
深く考えすぎたら、変になるから。
……考えない方が、楽。
成亜と一緒にいる方が、楽。
「…今日は家な」
「逃さない」って言いたいのか、
椅子から立ち上がった僕に、後ろから抱きつく成亜。
嫉妬してくれてるのかな…
なんて思って、嬉しく感じる。
……僕のこと、気にしてくれてるんだ。
特別、なのかな。
……成亜がいなきゃ、嫌なのも。
離れる理由がない…だけ。
……離れたくない、だけ。
「なぁ、そらくん」
成亜の声が、後ろから聞こえる。
「外、怖いやろ?」
『…うん』
怖い、って言ったのは、僕だっけ。
成亜が、そう言ったんだっけ。
「ここが、一番安全やんな」
『…うん』
頷いてる。
僕が、頷いてる。
……そうだよね。
ここが、一番安全。
成亜がいれば、大丈夫。