テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
永遠亭での「若返りだし事件」から数ヶ月。 博麗神社の境内には、相変わらず美味しそうな出汁の香りが漂っていた。
「……おい、霊夢。お代わりだ。不老不死になったら、なんだか代謝が良すぎて、いくらでも食える気がするぜ」
高校生姿の魔理沙が、丼を差し出してくる。同じく高校生姿の霊夢は、新しく新調した(というか、不老不死化でサイズが変わったので作り直した)巫女服を翻しながら、ため息をついた。
「アンタね、不老不死は『死なない』だけで『太らない』わけじゃないのよ? ……それにしても、最近、参拝客がますます減った気がしない?」
「元からいないだろ」という俺の突っ込みは、不自然なほどに静まり返った山々に遮られた。
その時だ。 神社の裏山、妖怪の山の方から、見たこともないほど巨大な**「乾いた風」**が吹き下ろしてきた。
「な、なんだ!? この風……カツオ節の乾燥には良さそうだけど、尋常じゃないぞ!」
風と共に現れたのは、一人の少女。 白と青の衣装を纏い、頭には蛇と蛙の髪飾り。そして、手には「奇跡」を呼ぶという御幣を握っていた。
「博麗の巫女、そして……その横にいる、なんだか美味しそうな匂いのする少年。ここはもう、私たちの神様がいただくことにしました」
東風谷早苗と名乗ったその少女は、不敵に微笑んで告げた。 「この山の上に新しく建った『守矢神社』こそが、これからの信仰の中心です。あ、もしよろしければ、その『白だし』のレシピも奉納してくださいね。神様が興味を示しておられます」
「……なんですって? 私の家を奪うどころか、うちの料理人のレシピまで盗もうっていうの!?」
霊夢の瞳が、高校生になって増した血気と共に燃え上がる。
「面白いじゃない。山の神様だか何だか知らないけど、究極の出汁の味も知らない田舎者に、博麗神社の……いや、『不老不死料理人』の意地を見せてやろうじゃないか!」
俺はリュックに白だしの瓶を詰め込み、コンロを肩に担いだ。 相手は神様。ならば、供えるべきは「神をも堕落させる一杯」だ。