新しい朝、朝が気持ちいいと感じらたのはいつぶりだろ?
「……よし、母さん行ってくるよ。」
「あら、もう行くの?まだ早いんじゃない?」
「こっちは久々だから道を思い出そうと思って」
「そう、じゃ、いってらっしゃい。」
「うん。」
そう言って、ドアを開けようとしたとき母さんが呼び止めた。
「樹、何かあったらすぐに言うんだよ?」
「…………うん、心配しないで」
そう言って僕は足早に家から出てった。どうにも、母さんの顔が見れなかった。
家から出ると目の前に広がるのは懐かしい景色。
まるで小学生の頃に戻ったみたいだ。
すぐ左を見ると見慣れた家、おそらくそちらに行ったら、また懐かしい顔が見れるのだろう。
でも、僕は逆方向に向いた。
……そっちに行っても歓迎はされないだろうから。
ずいぶんと歩いてきたみたいだ。
烏野高校。僕の地元では有名な高校だ。
とは言ってもすごかったのは昔らしく、今は『落ちた強豪、飛べない烏』なんて呼ばれている。
だけど、バレーが出来るならそんなこと関係ない。
僕はそそくさと教室に入っていった。
ここか…。そう思いながらドアをくぐる。
教室は随分と賑わってるみたいだった。
そんな中、僕は自分の席を探す。
「……ここだな。」
そう確信しながら僕は席につく。
ふと、隣を見るとやけにせわしない動きをした女の子がいた。
「………あの」
「ひゃあ!!」
「あ、す、すいません。驚かせてしまって」
「い、いえいえいえ!こちらこそすみません!!!」
「そ、そんなに謝らなくていいですよ。……ところでなにかあったんですか?焦ってたみたいですけど。」
「い、いえ、消しゴムが見つからなくって………」
「消しゴム?もしかしてこれですか?」
そう言って僕は彼女に僕の席の横に落ちていた消しゴムを渡す。
「あ、これです!!どこにあったんだろ?」
「僕の方側に落ちてたから死角だったのかもしれませんね」
「ほ、本当にありがとうございます!!この恩どう返したら……!!」
……なんだか、大袈裟な子だな。
でも、こういう子は何かを提示するまで引き下がらないんだろうなと思いつつどうしようかと考えた。
「………なら、名前教えてくれないですか?」
「名前、ですか?」
「はい。僕、中学は地元じゃなくて……。だから、知り合いがいなくて」
「そ、そんなことで恩を返せる気がしないのですが……!!」
「……なら、タメ口にしてほしいかも」
「え!!!そ、そ、そんな!!恐れおおいですよ!」
「……ダメ、かな?」
「……わ、分かりました。」
「ありがとう、僕の名前は樹。」
「わ、私は谷地仁花ともうしましゅ!」
「………」
「………」
……噛んだな。自分でも分かっているみたいで目の前の女の子は赤くなっている。
「………プッ」
「〜〜〜〜、!!」
「ご、ごめんね。フフッ。」
「は、恥ずかしいです……」
「フフッ。じゃ、これからよろしくね。仁花ちゃん。」
「よ、よろしくお願いします。樹さん」
「タメ口でいいってば笑」
なんだか、いい高校生活が過ごせそうだ。
コメント
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いいやん‼️