テラーノベル
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沖縄に到着すると奈々子は片思い中の彼の元へ行っちゃったので、伊代と二人で浜辺を歩く。
「やっぱ沖縄の海って綺麗だねー」
「こんなに澄んでる海初めて見る!」
「あ!」
「どうしたの?」
伊代の視線を追うと、そこには歩くんと伊代と仲のいい菅野くんがいた。
二人ともこちらに気づいたようで近づいてくる。
「うーすっ!」
菅野くんが元気に手を挙げた。あまり話したことはないけれど、小柄で爽やかな感じの人だ。
「なぁなぁ! お前、何やる?」
菅野くんは無邪気な笑みに伊代は頬を赤く染めながら、視線を海に逸らした。
「んーっと、シュノーケリングとか面白そうだなーって」
「おーいいな!楽しそう!」
盛り上がっている横で、歩くんが真っ赤な顔をして私の前に立った。
「ま、ましろっ、その格好はだめだろ!」
「へ?」
思いもよらない言葉に素っ頓狂な声を出してしまった。その格好って、水着の上にパーカー着てるんだけどな。
「パーカーの下は水着だから大丈夫だよ?」
パーカーが腰辺りまでしか丈がないけど、ここは海だし、これ水着だし……問題ないんじゃないかな?みんなそうなわけだし。
「だめ!絶対!」
どうやら歩くん的にはNGらしく、顔を真っ赤にしながら首を横に振られた。
「っこれ!……使って」
歩くんが着ていたオレンジ色のパーカーを突き出される。戸惑いながらもそれに手を伸ばした。
「着てもいいの?」
「……おう。これの方が丈が長いし」
「ありがとう」
視線を逸らしたまま頷く歩くんを確認すると、自分のパーカーのチャックに手をかける。
「わっ! 」
「歩くん?」
パーカーを脱いだ私を見て、顔を真っ赤にしたまま二の腕で口元を覆っている。
「ご、ごめん! なんつーか、見ちゃいけねーよな」
「え? 水着だし大丈夫だよ」
歩くんのパーカーを着てみると、思ったよりも大きかった。
だぼだぼだ。足の付け根が隠れて、ミニワンピースみたいになってる。そんなに身長とか変わらないって思ってたけど肩幅も違うし、やっぱり男の子なんだなぁ。
「歩くんの匂いがする」
「え! くさい?」
「そんなことないよ」
オレンジみたいに爽やかで甘酸っぱくて……心をくすぐる匂い。優しく包まれてるみたいで落ち着く。
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