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遅れてすみません。 それでは本編へ〜〜!!!!!
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翌日・明朝
大英「では行くぞ。荷物は全て持ったか?」
問いただすイギリスに彼らは迷いなく頷いた。イギリスはそれを確認し、輸送艦に乗るこむ。そして彼らは英海峡を出発した。
ゆく場所はオスマン帝国、ガルポリ要塞。
船が英海峡を抜け出し、地中海を走行していると時々逆戻りする船を見かけた。フランスは身を乗り出し覗きこむと負傷者の何人かが乗っていることが分かった。包帯や衛生が足りていない。
数時間後には、徐々にドーーン、、、と言う何発かの砲撃の音が聞こえるようになって来た。
フランスは聞こえた先を見るが特に何も見えない。
やっぱりかと思いしゃがみ壁に寄りかかる。
戦場で戦うと言う実感が湧かない。ここは戦場で今に敵を攻めに行こうとしている。と言う気持ちになれなかった。周りを見渡しても、煙草を吸う者、談笑を交わす者、下を俯く者共。
さっき通った負傷者の輸送船とすれ違ったった時こそ緊張が高まったが、時期に薄れていった。
フランスはこれで本当にいいのか?甘すぎるのでは無いのか?と思いつつ、 ぼーと船の板床を眺めた。
すると視界の隅に映る黒いブーツの先がフランス自身に向いていることが分かった。顔を上げると将校らしき男がヘラヘラと笑っていた。
将校「不安かね?お嬢さん?」
『お嬢さん』思わずアイルランドの事かと思ったが、明らかに瞳がフランス自身を捉えている。フランスはその言葉に呆れと苛立ちを覚えた。不安になるのは兵士たちの生ぬるい士気。もう一つは男であるフランスをお嬢さん呼ばわりをしている時だ。この時点で既にお嬢と扱っているからに自分に期待していない事がわかる。その上であえてフランスは俯き
フランス「、、、そうですね。」
と低い声で言ってやった。目の前の将校は目を丸くし、やがて分かったかのように口を開いた。
将校「イヤはや失敬失敬。兵士ではなく戦場に咲く百合かと思ったよ。」
シワがのる顔を寄せてその将校は笑った。この言動からフランスの事を国の化身とは思っていなさそうだ。そもそもイギリスに「国の化身である事を言うな。」と口止めされていたのだ。フランスは「はぁ」と溜め息をついた。
ガルポリ要塞沿岸部付近に着くとより一層砲撃の音が大きくなり、ハッキリと聞こえるようになった。その音に一瞬怯むも横を通り過ぎて行くイギリスに当たるわけが無いだろうと言われた。
船からは色んなモノが見えた。砲弾で抉られ黒く滲んだ山肌、天にまで届く黒煙、そして鉄条網。
大英「俺は參謀本部へ顔出しに行ってくる。そこで最期の会話でもして待っていろ。」
最期___まぁ確かにいつ死ぬのかも分からない戦場では当たり前かとフランスは思い壁に身を寄せて待つことにした。すると感ん高いオーストラリアの声がした。振り返ると瓜二つなもう一人の男がオーストラリアに飛びついていた。
オーストラリア「ニュージー‼︎ここいたのですか‼︎」
ニュージーランド「兄さーん‼︎あえて嬉しいよ‼︎」
衛生兵の帽子を被っているのはニュージーランド。オーストラリアの双子の弟だ。
ニュージーランド「また皆んなの前でヒーローごっこしているの?」
オーストラリア「えっ‼︎ちょ///言うなぁぁぁぁ!!!!!」
カナダ「何々?」
珍しく喰いに来るカナダ。赤面になったオーストラリアはそれを見て大きく溜め息をついた。隠してもしょうがないと思い、荷物を下ろし、手を斜め上に上げて叫んだ。そして例の登場ミュージックが流れた。
オーストラリア「実は人口より兎の方が数が多い‼︎南半球の英雄オーストラリア!!」
ニュージーランド「実はカンガルーの袋はめっちゃ臭い‼︎南半球の救世主ニュージーランド‼︎」
オースト&ニュージー「二人はANZAC‼︎暗黒のオスマン帝国よ!とっとと、おねんねしないと56すぞ〜‼︎」(オーストラリア&ニュージーランドの軍団の名称)
アイルランド「何か出そう、、、反吐かしら?」
オーストラリア「//////…。あぁやっぱり‼︎ニュージーお前のせいだッ‼︎」
ニュージーランドは「え〜」と言い眉を寄せている。カナダは後ろでクスクスと口許を隠して笑っていた。
カナダ(クールビューティーの意外な面こそ万病に効くよね。)
フランスはと言うと。
フランス「、、、、、、ほえ?」
見ていなかった。
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大英「私です。失礼します。」
そう参謀室のドアに向かって言うと、奥から低い声が「どうぞ。」と言う声が聞こえてきた。イギリスはその声に従いドアを上げると、ランプの光と同時に様々な勲章をつけた男が目に入った。微笑んでいる男に手招きをされ体を室内の中に入れる。
大英「独立小部隊の行動の自由化を許可して貰いたいです。」
勲章をつけた男「まだ座っていないじゃ無いか。そんなに生き急がなくても。」
イギリスは顔を顰めて仕方なく椅子に腰を掛けた。
勲章をつけた男「、、、で、どうしてもここに居るのかね?君は我が国の化身だろう?。」
提案しに来た理由よりも先に、なぜここに居るのか問い出された事にイギリスは目線を逸らした。だがこの問いに答えなければならないと思い、少し考えてから答えた。
大英「皆が戦場に行くのに私だけ紅茶を啜るわけにはいけません。、、、海軍は優秀な提督に任せられるので。」
勲章をつけた男「それで海軍の君が陸に上がって来たと。」
イギリスは小さく頷いた。 「しっかしまぁ、、、。」と勲章をつけた男は上にぶら下がるランプを見つめながら言った。
勲章をつけた男「なぜ皆、国の化身であるのに戦場に行きたいのかね?国民は非難しているぞ?あっ、、、、、、そう言えば、、、君はこう言う回りくどい事は嫌いだったね。」
勲章をつけた男は頭を手で撫でて「すまない。」と言った。___ やっとか。イギリスは溜め息をつきながら首を縦に振った。
勲章をつけた男「では単刀直入に言おう。君は何の為に戦う?なぜドイツに宣戦布告した?」
大英「それは国民の平和の為です。」
勲章をつけた男「そう言うんじゃ無い。今、私は君を一人の兵士として見ている。」
勲章をつけた男の鋭くなった目つきを横目にイギリスは俯いた。眉を寄せて少し考え込んだ後、顔を上げた。
大英「、、、戦争の小説などに『何かの為に死にたい』だとかよく書かれていますが。私にはそれが無い。“私は国の化身としても義務を成し遂げるだけです。世界平和を取り戻す為、御国の平和を守る為”。」
目の前の勲章をつけた男は「そうか。」と悲しげな顔をした。だがイギリスは構わず続けた。
大英「そして、、、この度の大戦は人間にとって今までに無い未曾有な戦いになります。もう二度とこんな有象無象にならぬようここで方を付ける。」
イギリスは立ち上がり、机に手を打ちつけた。今度はイギリスが睨み返す。
イギリス「帝国の牙を奪って飼い慣らす。それが己が牙を失う事になってでも。」
こちらを見上げる勲章をつけた男は怯むように動かなくなった。やがて意味がわかったのだろう。男は言った。
勲章をつけた男「君の言いたい事はわかった。、、、一時的に君を隊長にし、第13独立小部隊の自由行動を許可する‼︎」
イギリスは帽子をとり深々と礼をした。
今、世界平和を願っていれば帝国に食われる。
ならば自らの身も野良へ放り込もう。
世界の救世主の頂点であれ。
戦争を終わらす戦争をするのだ。
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イギリスは室内から身を出すとふざけた雰囲気に呆れて何度目かも分からない溜め息をついた。
大英「おい。ここは敵の領域内なんだ。下手にしていると簡単に死ぬぞ。」
目の前に座る兵士達とオーストラリア達にキツく低い声で言った。フランスはお前の部隊だろうと睨んだ。フランスはまだ戦場とは何なのか分からなくて、夢心地な感覚になっている。
ある者は気を引き締め、ある者はまだ気が緩んでいるそんな空気になった。
イギリスはそれを確認して、手でフランス達に武器を持って来いと促した。船のガンパンを降りてゆき、階段の下には上陸用の手漕ぎ船が海に浮いていた。。
上陸すればオスマン帝国領。
フランス達は上陸した後、鉄条網の間を潜り抜け、勢いよく駆け出した。一角の側面に危なげなく潜り込んだ____
その時。
北の空から、ヒュルルル。という空を切る音が聞こえてきた。今までの砲撃音よりもより明瞭な振動音。木々の隙間から覗ける黒い一点。
____砲撃だ。
大英「ッ伏せろ!!!!!」
怒鳴るイギリスの声にフランス達は反射で伏せると、目の前に一瞬にして火花が散った。
フランスは何かに吹き飛ばされ、舞った体が木に衝突した。強い痛みが体に走る。
その後も衝撃が何度も波のようにフランスを翻弄し、叫び声すらも掻き消えて聞こえない程の砲撃に見舞われた。それは作られた映像をただただ眺めているようで曖昧な意識では意味がわからなかった。
最後に見たのはイギリスの必死になった顔____。
フランス「うっ、、、。」
倒れて横になった目を開くと目眩と鈍器で殴られたような痛みが頭に走った。開けた視界に驚いた。 さっきまであった手漕ぎ船が原型も無くただの瓦礫と化していた。地面には無数の砲弾に跡だけが取り残されている。
____蜂の巣というのはこの事。
フランスは目も前の風景に何が(起きたんだ?)と理解できず固まってしまった。
ただ額の傷がジンジンと痛む。まだ砲撃の轟音が耳鳴りしている。
「、、、ラン、、、ス」
「フラ、、、ス」
「フランス‼︎」
フランス「は、、、。」
聞き慣れてしまった声によりフランスは目を覚ました。
大英「おい立て‼︎一刻も岸壁に身を隠せ‼︎」
血相を変えて叫ぶイギリスが目に入った。指を刺された方向の先を見ると他の兵士たちも躍起になって塹壕や岸壁に飛び込んで行った。フランスも震える足で立ち上がり無我夢中で岸壁へ走った。
直ぐ後ろに空を勢いよく切り裂く金属音が鳴る、人を殺す音が耳に入る。
一時に大勢の屍を創る事ができる、両方の軍から機関銃掃射が始まった。
あれ、、、自分は何しにきたんだ?
フランスは身を低くして転がるように岸壁へ潜り込んだ。周りを見ると、大量の血の水溜まりと、兵士たちの最期の呻めき声が全身で感じる事ができた。
さっきまで談笑していた味方兵士が腸が剥き出しになっている兵士に負傷したところを必死に布で押さえている。痛みに苦しむ兵士はのたうち回り周囲の仲間に猿ぐつわを咥えさせられていた。
悪夢を見ているのか?
現を理解できない怯む体。まだ何が起こったか理解できない脳で無意識にボルトアクション銃を握りしめた。
その時ようやく分かった。銃を持つ手が震えている。ブーツ越しに塹壕に溜まった血溜まりを感じる。
自分は今戦場にいる。恐怖と哀れな醜態を晒すフランスは自分を憎んだ。
上から聞こえるカン高い声を上げる方向を思わず見上げると、さっきまで居なかったイタ王が塹壕から機関銃で敵を相手していた。
イタ王「、、、フッ。」
フランス「?、、、」
イタ王「!、、、フランス‼︎」
自分を見ている存在に気づきイタ王が振り向く。ちょうど弾切れした機関銃を後にしてイタ王はフランスの傍へ駆け寄った。
イタ王「丘の上に砲撃陣地がある。ioが機関銃で援護するから砲撃手と大砲を鹵獲して欲しいんね‼︎」
フランス「ッほ、、、かの皆んなはどこへ?。」
イタ王「なんせ野戦砲が凄まじいから英国弩級戦艦に砲撃要請をしにいくと言っていたんよ。、、、上陸のタイミングをミスちゃったんね。敵は浜に陣地を作っているしi、、、、、、フ!」
爆発音が海の方から鳴り響き、こんな状況でも揺るがない明るい声が掻き消され、言葉の最後を聞く前に後ろから凄まじい砲撃が飛んできた。二人は咄嗟に身を縮めた。
オスマン軍のトーチカを狙う英国弩級戦艦による砲撃が始まったのだ。敵陣地は爆発四散していった。
それに顔を顰めたイタ王が言った。
イタ王「、、、フランス‼︎ioは前線を上げると共に敵を撃つ。フランスは後ろから着いてきて安全そうになったら海の方に信号弾を撃つんね‼︎」
砲撃音に対抗するイタ王の声は最早叫び声に似ていた。
イタ王が言う意味はわかる。自分らで海岸線を抑え後ろの軍を上陸出来るようにする。しかし 今の状況に安全と言うものが生まれるのか疑問だったがフランスは咄嗟に頷いた。
フランス「俺がやる!」
己を鼓舞するようにフランスは宣言した。
絶え間なく繰り広げられる弾幕を横切りイタ王は丘の敵塹壕へと走り出した。それに遅れないようにフランスも血で汚れた地面を蹴った。
それは走る度に地獄を見た。奥に進むにつれ英国弩級戦艦に砲撃されて下半身が動かないオスマン兵、先導してゆくオーストラリア兵が四散してゆく姿、機関銃で殲滅するオスマン兵。倒れてゆく味方が視界に映らなくなり、、、
遂に彼らが先頭となった。
フランスは開けた視界目を開きつつ急速に神経を尖らせた。数百m先にオスマン兵機関銃手が構えている姿が見えるボルトアクション銃を頬に寄せて頭を狙った。
訓練通りに距離を即座に計算し割り出された距離に、拡大されたスコープ越しにT字照準の中央にるオスマン兵の顔が見えた。
完全に捉えた、あの人を撃て。
それを意識して確認する間なくフランスは引き金を絞ろうとした時。
____人差し指の第一関節がそれを拒んだ。数コンマ、、、喉で鳴る使命帯びた不快感に詰まる。
フランスは開いていた口を閉じて、引き金を絞った。
ヘッドショットを喰らったオスマン兵はそのまま後ろへ倒れスコープから姿を消した。
顔を上げた時、再度地獄の風景が飛び込んでくる。けれどもさっきとは異なる高揚が湧き出てていた。
殺してしまった!この僕が‼︎。
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破 第二十八話『最強貧乏オワコン国家』 完