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「わしは大丈夫じゃ。乞食だからな。2・3日食べなくてもピンピンしておる。じゃが、穴掘りたちはどうじゃろう。堪えたかな……」
ディオはボロボロの赤いジャケットを叩いて、
「これくらいでいいじゃろう。恐らくカルダたちは罠を、わしたちが仕掛けていることも、無論知っているはずじゃ。しかし、カルダは黒い霧を使い捨ての様に思っておるはずじゃし、だからわしらの仕掛けた罠は目に入らん」
ディオは一呼吸置いて、木製のスコップの様なものを地面に投げ出して、
「どう出るじゃろう。5千8百体と呉林姉妹は言っていたが、黒い霧を無限に出せるのかも知れない……。あの勝ち誇った王者の顔は……しかし、単に好戦的だから早く戦いたいのかも知れんし」
「もし、無蔵蔵に黒い霧を出してきたとしても、俺の力で叩き潰せるのじゃ?」
私は自信を持って言い放つ。けれど、
「昨日も言ったが、それは赤羽くんが起きていないといけないのじゃろ」
ディオは頑と私の力を頼りにしてくれない。
「それは、そうだが。でもさっき霧画さんに呪いを掛けてもらったんだ。眠らないようにと」
ディオは自分の考えを頑なに、到底曲げることが出来ない人だった。
「うーん。あの呉林姉妹の力は、わしも認めている。が、しかし、カルダは400年以上も生きているのじゃぞ。果たして、凌げられるかどうか」
ディオは考えている様子だったが、
「では、赤羽くん。きみは戦闘の主力じゃ。きみは一人で先頭に立ってくれ。そして、その脇でわしらが戦う。丁度、Vの字の様な感じかな?敵も赤羽くんの力があるから、逆さになったVの字となる。この意味が解るじゃろう。きみがこの戦の主役なのじゃ。きみが寝てしまったら、みんな負ける」
私は自信を持ってこう答える。
「任せてくれ。けど、何か罠を作ったんだよな。大丈夫なのか」
ディオはにっこりして、
「大丈夫じゃ。この罠はきみを守るためにあって、それだけだ。味方は引っかからないようになっている」
それぞれの代表の数人の戦士が、ディオと私を囲む。二人の会話はみんな聞き逃すまいとしている。それもそのはず、この戦の戦局を左右することだからだ。
角田と渡部も耳を静かに傾けている。
角田と渡部にとってはディオは師匠的な存在なのだろう。
「敵襲!」
「敵襲!」