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次の日
朝起きて玄関から出ても、太智はいなかった。
「そりゃな…」
毎日見る光景が今日は無くて 。
教室について席に座る。
太智はやっぱり友達と話してて騒がしい。
俺は1人、端っこの隅で座って窓を見る。
グラウンドから聞こえる声、
晴天が広がってる空。
「綺麗だなぁ…」と、呟く。
ぼーっとしていると、廊下から声がした。
「仁ちゃーん!!おるー??」
「は、舜太…?」
「あ、おるやん!!きてきて!!」
廊下まで歩く。
途中で太智と目があって気まずい。
「なに…」
「喧嘩、どうなったん?」
「どうもこうもなってない」
「へー、柔から聞いたで?なんか
だいちゃんも仲直りしたいって」
太智が仲直りしたい…?と、内心思った。
「でも、だいちゃん今は無理だと思うって。 」
「俺も…」
「…一回さ、話してみたら?」
「どうやって…」
「普通にごめんって、だいちゃんも許してくれるんちゃう?」
「今は無理だろ」
「そうかな?俺はそう思わんけど、やって、お互い同じ気持ちなんやろ?」
「…」
「俺も柔に協力してってお願いするからさ、な?」
「わかった…」
「よっしゃ決まりや!!」
俺は渋々受け入れたが、実際の所は話しかけたくなかった。
さっき、目があった時睨まれたような気がしたからだ。
休み時間、俺は太智に話しかけに行こうとした。
太智は席に座ってじっとしている。
「なあ、太智…」
「…何」
「舜太にさ…仲直りしなって、言われて…」
「だから?」
「仲直り…しない?」
「…仁人は、舜太に言われたからしてるんでしょ?」
「は…?」
「舜太に言われなかったらしてないくせにさ、本心仲直りしたくないやろ」
「いや…したいよ、したいけど….」
「仁人は言われるがままやな」
太智はそう言って席を立ち、この教室から出て行った。
「意味わかんない…」
しばらく、俺はそこに立ち尽くしてた。
また、朝のように廊下から聞こえた。
「仁ちゃーん 」
俺は返事をせずそっちに向かう。
「どうやった?」
「…無理だった」
「え、どう?なんて言われたん?」
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せんたくのり
「仁人は舜太に言われからしたんだろって、言われるがままだなって…」
俺は歯を食いしばる。
少しでも力を抜いたら涙が出そうだった。
「…多分、だいちゃん柔にまた相談すると思うから、また言うわ」
「…うん」
「仁ちゃん、ちょっとこっち来て」
舜太に袖を掴まれ、どこかに連れて行かれた。
人気がなく、周りはとても静かな教室に入った。
「ごめんな急に」
「…別に」
「仁ちゃん、泣きそうな顔してんで?」
「…は」
「力抜き、ここやったら誰もこうへんから」
俺は舜太の言葉に安心したのか、すぐ力が抜けた。
それと同時にたくさん涙が出た。
「仁ちゃん頑張ったよなー、急に喧嘩して謝りに言ったのになー」
俺は舜太に抱きつく。
「仁ちゃん、俺に抱きついていいんか?笑」
「…今はいいの」
「そうなん…笑」
「仁ちゃん?もう大丈夫?」
「うん… 」
「顔上げ?」
「…」
「めっちゃ鼻赤いで…笑トナカイみたいやな笑」
「うるさい」
「ごめん笑」
「教室戻ろか」
「うん」
舜太と廊下を歩いていたら、舜太が言った。
「あ、柔!」
「舜太じゃん」
「おー!!あ、だいちゃんからなんか言われた?」
「いや、何も言われてないけど…」
「あれ?だいちゃん言わんかったんかな」
「だよね、俺も気になってて」
「だいちゃんどうしたんやろ、柔に言うと思ってたのにな」
「俺もそう思ってたけど…」
「まあ、またなんかあったら教えてな!」
「はーい」
「じゃあな」
「うぃ」
教室前
「じゃあな、仁ちゃん!」
「うん」
「もう鼻赤くないな!!笑」
「うん…笑」
そう言って舜太と別れた。
教室に入ると、やっぱり騒がしい。
あのグループの中心には太智がいた。
大声で笑っている。
「…太智」
凄く静かな声で呟いた。
その瞬間、太智はこっちをみた。
まるで、聴かれていたかのように。
「あー、ちょっと待っててくれん?」
「ん」
太智は周りの人にそう言うとこっちにきた。
「ちょっと来て」
「…」
先ほどの笑顔は一瞬にして消えた。
また、どこかに連れて行かれる。
まだ、来たこともないわからない場所に。
「…ここ、座って」
椅子を引かれ、そこに座る。
太智は座らず、前に立つ。
「仁人さ…何こっちみてきてんの?」
「…みてない」
「見てんじゃん、俺気づいてる」
「見てないって」
「俺の名前も呟いたでしょ?」
「呟いてない」
「聞こえてたから」
「呟いてないって」
「嘘つくな」
「嘘じゃない!!」
完全に嘘だった。
太智はまだ許していないのか。
正直、あんなことで喧嘩して許さないのはどうにかしている。
「…仁人」
「なんだよ」
「お前はどうしたいの?」
「何がだよ」
「仲直りしたいの?」
「…」
俺は黙り込んだ。
仲直りしたい、したいのが本心だ。
でも、今この状況でその本心を伝えられる気がしなかった。
「したいのか聞いてるんだけど」
「…したくない」
今はこうするしかなかった。
「…俺もだよ」
太智はそう言った。
その言葉を聞いた時、俺の中で何かが切れた。
(もういいや)
太智とのこの関係をすべて切ってしまってもいい。
もうなんでもいい。
こいつとなんか、居たくない。
そんな気持ちが溢れ出してきた。
「じゃあ何?なんで俺をこんなとこに呼び出したの?」
「…それを聞きたかっただけだったから」
「仁人が仲直りしたいか、したくないか」
「それだけのために?笑そんなん教室でいいじゃん」
「教室だったら…ほら、な?」
「なんだよ、言えよ」
「いや…」
どんどん言葉が口から出る。
思っていない…はずなのに。
「もういい?戻りたいんだけど」
「…ああ、いいよ。」
「お互い仲直りしたくないんだから、もう話しかけないで」
「…うん 」
太智がそう言うと俺はすぐ立ち上がった。
太智の目をじっくり見て、この教室から去った。
太智の目は、潤っていた。
瞬きをしたら涙が流れるくらい溜まっていた。
どうせ太智も仲直りしたいんだろう。
お互い本心は同じはずなのに。
俺らは本当のことを言わなかった。
こんなことにまでなるとは思わなかったけど、
もういいと、心の中で思った。
どうでもいい。