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完全に舐め切った態度のザルクはおれの魔法を黙って使わせてくれるらしい。


「見せてみろよ!! てめぇの面白いモンをよぉぉ!」

「そうさせてもらう」


奴への攻撃というよりはあくまで探りで出す魔法だ。しかし、さっきから気になるのが護衛連中から垂れ流されている魔力の流れ。おれが気付いていないとでも思っているのか、堂々と奴に向けて注がれているのが感じられる。


対するおれは、余力こそ十分にあるが連中の魔力供給が長く続けば一層不利になりかねない――とはいえ、似た攻撃を仕掛けるのは無意味。顔への攻撃は弱点でも何でも無く単なる挑発だからだ。


そういう意味でも、こちらも威力だけを見せつけるだけにした方が得策だろう。


まずは片手で風を起こす。


「けけけっ! どうした、どうしたぁ?」

「……『アエルブラスト』」

「旋風ぃ? そんな風ごとき……」

「さらに、『フレイム』だ」

「――風と炎だぁ? それごとき……っ!?」


奴に向けて放つよりも、ローブ姿の連中近くに放ってみることにした。


「その場を動くか動かないかは判断に委ねるとして……『フレイムブラスト』!」

「なっ――止せ、やめろっ!!」

「火災旋風を喰らえば辺り一帯全て焼やし尽くす。さぁ、どうする?」


もちろん本当に攻撃するつもりは無く、連中の動向を図るためだった。だがザルクは予想外の行動に出る。素早く連中の前に立ち塞ぎ、おれからの魔法を弾こうとし始めたのだ。


「わ、分かった! 分かったよ。アック・イスティさん! あなたの強さは分かりましたよ。ですから――」


そこまでだとは思わなかったと言わんばかりに、ザルクは態度を改めた。おれもそのつもりだったのですぐに魔法を解く。


「……ところで、そこの連中は護衛だと言っていたが支援系で固めた連中だよな?」

「よく分かったじゃないか! その通り。連中はオレに対し、『インテンスフィールド《範囲対象魔力増幅》』を継続的にかけていた。そうでなければ、あなたのように魔力が湧き出てくるもんじゃないからね」

「ウルティモってのは、お前よりも魔力が上か?」

「ハハハッ! ――そんなわけねぇだろぅが!! 奴は反則スキルを持ってるだけの弱っちい奴に過ぎねえんだよっっ!!」


ザルクを見ている限り、末裔の連中は全てが親密という訳では無さそうだ。


派手な男の名を出しただけで豹変するとは確執でもあるのか?


そして気付いた。奴と支援連中の傍にあの男が立っていたことに。気配を殺して近づくことを得意としているのか、あるいは。


「戦闘魔導士ザルク……。一応聞くが、気付いてないのか?」

「――あぁ!? 何をほざ……うっ、ウルティモ!? い、いつからいやがったんだ……」


どうやら格の違いは歴然としているようだ。よほど恐ろしいのか、ザルクを支援していた連中の姿があっという間に無くなってしまった。


「戦闘魔導士の末席、ザルク・カシェ君。勝手なことをしてもらっては困るな」

「――うっうぅ……ち、違う! これは……」

「アック・イスティはわれらと敵対している関係でも無い。彼をソロにして弱体化を図ったのだろうが、見通す力全てが甘い」

「これはウルティモ様への報告が遅れただけでして……」

「……ならばすぐに戻れ。君の処分をどうするか、みなに決めてもらうとする」


やはりウルティモという男がグライスエンドのリーダーらしいな。妙な技を使う割には驚異的な強さを誇っているでも無さそうだが。


「イデアベルクのアック・イスティ。聞いての通り、敵対してはいない。そうだろう?」

「おれに向けて襲って来ているのにか?」

「それはそうだろう。末裔が暮らす町をつけ狙う奴は少なくないのでね。だが見たところ、君からは明確な敵意を感じない」

「……さぁな」

「その答えはアジトで聞かせてもらおうか。それと、君のお仲間にも会いたいのでね。ではまた」


ほんの少しのやり取りの後、奴は音も無く姿を消した。おれの目的は破壊行為でも無ければ撃退でも無いが、すでにドワーフを引き入れている以上そうするしか無さそう。


だが理由も無く攻撃されれば、黙って見過ごせるほど愚かな国主になるつもりはない。そうなるとウルティモや他の連中そのものにも声をかけなければならなくなるわけだが。


しばらくその場で考えていると、またしても地面が揺れ出す。揺れているのはこの辺りだけのようだが、どういうことなのか。


「むっ?」


足下を気にしていると突然のように地響きが起きたうえ、亀裂が走る。ここでの戦闘の激しさを考えれば地盤沈下してもおかしくはないが。


そう思っていたら、地面から人の手のようなものが飛び出してきた。その手は何かを探しているような動きを見せている。


「な、何だ……? 敵か? ぬ、ぬわぁっ!?」


近づくつもりは無かったが、あまりに至近距離に手があったので様子を見ていたらまんまと捕まってしまった。掴む力が半端なく、足首から離すにも相当踏ん張らないと外れてくれそうにない。


「こ、このっ!! 離せっ! これでも喰らえ、『ディスチャージ《放雷》』!」

「ふぎゃぁぁぁぁぁ!? し、しびしび……痺れましたぁぁぁ~はへぇぇぇ」

「まさか!? いや、その声はルティ……か?」

「はぇぇぇ……」

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