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この人のどこか子供みたいな無邪気さはひとつの魅力だとは思ってるけど、これはちょっと。
「あっ、mfくん見て見てーついにVtuberデビューのdnさんです、じゃーん!」
当番でゴミ回収に訪れた俺を待ち受けていたのはいつもとはだいぶ格好の違ったdnさんだった。赤と白を基調としたスポーティで格好いい和服にポニーテールの髪型がばっちり決まっている。どこからどう見ても超イケている狐さんだ。俺の前でくるくると回ってお披露目してくれる彼はとっても可愛いけども。
『彼氏としては、微妙な気持ちなんだよなぁ…』
むき出しになった華奢な肩も、きれいなうなじも正直言うと全然面白くない。俺だけの専売特許だと思ってたけどどうやらdnさんにはそうじゃなかったみたい、それがちょっと寂しい。きっといつもと違う雰囲気のdnさんにまたファンは爆増しちゃうんだろうな。目をキラキラさせて俺からの感想を待っているdnさんを見ていると悪戯心が湧いてきて、彼の肩を両手で持ってクルリと後ろを向かせた。mfくん?と信頼しきって安心している声が聞こえたけど、それには答えないで俺はdnさんのうなじをべろっと舐める。
「ひぇ⁉︎」
面白い悲鳴を上げるdnさんを無視してそのまま2、3度跡が残らない程度に甘噛みし、ぢゅっと音を立てて強目に吸ってから解放した。よーし八つ当たり成功ー。dnさんは予想通り真っ赤になって涙目で首を抑えている。俺は素知らぬ顔で顎に手を当ててdnさんを頭からつま先までじっくり眺めて態とらしくうーん、と唸ってみせた。
「えっ、えっ⁉︎」
「いつもとは違って活動的な服装でかっこいいね装飾も豪華だし…赤と白がdnさんによく似合ってる」
「へぁ…」
「じゃあ、他の部屋のゴミも回収行ってきますかぁ、dnさん衣装見せてくれてありがと」
「え⁉︎」
目を白黒させるdnさんの姿を見てスッキリした俺は彼の前を通ってドアノブに手を掛けた。ちょーっとやり過ぎたかな?まぁまぁまぁ、たまにはね?その時控えめに服を引っ張られる感触がして振り返ると、真っ赤な顔をしたdnさんがそこには立っていた。
「dnさん?」
「おかしくない?」
「え?」
「この流れでゴミ当番再開するかフツー?」
うーん、とさっきの俺の言い方そっくりに真似をしてdnさんは俺をじっと観察しだした。長い時間見つめられて何だか居心地が悪くなってきた時、やっとdnさんが口を開いた。
「mfくんの不興を買ったのはこの服装かー?それとも髪型?どっちでしょーか?」
「!!」
「そーんなに俺似合っちゃってたかなあ?」
「…するどいdnさんは可愛くないなー」
憮然とする俺とは逆にすっかり上機嫌になったdnさんはにこにこしながら俺の服をちょいと引っ張った。
「この格好のままエッチする?」
「うぐ、………………す、る」
「ウヘヘ、待ってるから早くゴミ当番終わらせてね」
じろっと睨んでみるけどdnさんは相変わらずにこにこしている。彼に何もかも見透かされていて俺今すごい格好悪い。恥ずかしいし悔しいバカバカバカ。俺は悔し紛れに口を開いた。
「あーあ、付き合いたてのdnさんは初心で可愛かったのになああ」
「でも今の俺もmfくん好きでしょ?知ってるよ」
「…よく分かってんじゃん」
ねぇー早くゴミ当番行ってきてーと言うdnさんの声を背に俺は今度こそドアノブを捻った。絶対泣かすし、リスナーの皆さんにはうなじを見せないって約束させる!!!俺はそう誓って大股で他の部屋のゴミを回収しに行った。
コメント
12件
ヤマタさんおひさしぶりです✨️私も続きが見た過ぎます((陰ながら応援してます!
続き楽しみに正座待機しております🙇♀️
最中も見たくなるやつやん。