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・・・



今まで避けていたけれど、私は約2年半ぶりに父と母に会うことにした


最近父は神戸の芦屋の一等地に私の知らないうちに別荘を購入していた


そこに母と住んでいた、どうやらここに永住したいらしく、色々住みやすいように改装しているそうだ



弘美さんに借りた赤のアウディで山道を登っていくと、そこは静かな裕福層の住む住宅街だった



思ったより父の別荘はこじんまりとして、老人二人で住むには快適そうだった



ガレージに車を入れ、初夏なのに比較的涼しい日で、庭の木漏れ日が心地よかった



ベルを鳴らすと一分も立たないうちにドアが開き母に迎えられた



「ママ・・・」


「まぁ!この馬鹿娘がやっと帰ってきたわ」



ママは私を抱きしめこの世の終わりのように泣いた、母は相変わらずほっそりとしてグリーンのパンツにビーズ飾りのついたミュールを履き、柄物のシフォンのブラウスを着ている、数年ぶりに見る母は美しかった


60歳を過ぎても身なりに気を使い、そして俊哉と生活をしたおかげで、新たな目線で母を観察できることが出来た



やはり裕福な女性はそれなりに、自分のことにかまうお金があり若く見えるのだ


あのまま俊哉との貧乏生活を続けていたら、私は自分の身なりにかまう金もなく、子供を産んでまだ20代後半なのに40代に見えると言われるほど、一気に老け込んでいたことだろう





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