私
の名前は山田太郎。
どこにでもいる普通のサラリーマンだったのだが……。
先日上司から『お前はもう用済みだからクビね』と言われて会社を追い出されてしまったのだ! 理由は簡単。
俺の仕事ぶりが悪いからだそうだ。
仕事ができないヤツには何を言っても無駄だとばかりに何も教えてくれなかったクセに、いざ使えなくなったらポイ捨てかよ!! ふざけんなって話だよまったく。
とはいえ、こうなった以上仕方がない。
俺は新しい職場を見つけるために街へと繰り出すことにした。
◆ ハローワークに行ってみたけどダメだった。
求人票を見てみると条件が厳しかった。
残業なしとか週休二日制とか定時上がりOKとか書いてあったんだけど、それ全部嘘じゃん。
よく見たら給料だって安かったわ。
そりゃあもう大変だったよ! なんせ『彼女』はいつも一人ぼっちだからね。
誰も友達がいないんだよ? 誰とも話さないんだから。
僕は彼女とたくさんお話ししたさ。
だけど彼女は僕の声を聞くことができないんだ。
どうしてなのかわからないけど、彼女の耳には僕の声が届かないみたいだよ。
それでもめげずに話しかけたんだけど、そのたびに無視された。
ひどいよねーまったく。
でもさすがに三日くらい経つと慣れてきたのか、『彼女』の方からもちょこっとだけ返事してくれるようになってきて……。
そうこうしているうちにだんだん仲良くなって――。
それからしばらく経った今じゃ、お互いに冗談を言い合えるような関係になったんだ。
もちろん最初は本当に苦労させられたよ。
だって彼女は話すこともできないんだもん。
僕の言葉に対して何か反応があるわけじゃないし、そもそも言葉自体を知らないんじゃないかと思ったぐらいだよ。
でも、それは違ったんだ。
あるとき彼女が言ったんだよ。
『ねぇ、今日は何して遊ぶ?』
って。
そのときの感動ったらなかったね。
嬉しくて思わず泣きそうになったほどさ! しかしそれは一瞬だった。
なぜならば……。
「あーあぁ、もうすぐ俺も死ぬのか」
俺はそう言って目を閉じた。
どうしてこうなったかというと今から一時間前に遡った。
~1時間前~
「うわぁー!!」
ドカーン!! 俺は死んだと思った瞬間目の前が真っ暗になった。
そして気づいた時にはこの空間にいた。
「ここはどこだ?」
辺りを見渡してみるが何もないただ白いだけの部屋があった。
「えっ!?」
突然声が聞こえた。
その声の主を探すために振り返るとそこには一人の女性が立っていた。
「貴方誰ですか?それにここは一体何処なんでしょうか?」
女性はこちらに向かって問いかけてきた。
だが、こっちだって聞きたいことが山程あった。
なので女性を無視して質問をした。
「あのーすみません、ここって天国とか地獄とかそういう場所なんですか?」
「違いますよ。それと私は女神ですよ」
「えー!嘘つけ!」
「ほんとですよ」
「じゃあ証拠見せろよ」
「そうですね……では少しお待ちください」
「ああ待ってるぜ」
(なんか俺の知ってる女神様と違うんだよな)
俺は今、女神と名乗る女性の前に居る。
なんでこうなったのかと言うと少し前に遡る
―――数時間前 今日は高校受験の合格発表日だった 無事に合格してたから良かったものの落ちた時の事を考えると恐かった だけど無事に受かっていたから一安心だ 家に帰っている途中公園を通りかかった時 目の前に急に現れた人がいた
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