テラーノベル
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白い髪。
右目には眼帯。左目はアメジスト色。
肌は透けるように白く、その姿はさながら、人形のようだった。
「アメジスト・ドール」と呼ばれた少女は、今、ある少年とともに、旅に出ていた。
「リティ、大丈夫?」
「はい」
デネボラ山、山頂付近。
そこには大きな影と、小さな影が二つ。
小さな影の正体はまだ、中学生らしい顔つきの少年と少女だった。
少年--ギルは、目の前に立ちはだかる巨大な影に向かって、懐から刀を抜いた。
少女、リティはギルに寄り添うように隣に立った。
その様子を、影が見下ろす。そして、口を開いた。
〈その方が、我の力を欲するものか〉
「ああ」
地の底から聞こえてきそうな低い声に立ち向かったのは、ギル。
切先を影に向け、ギルは静かにリティを抱き寄せた。
「……〈解〉」
ギルが呪文を唱えた瞬間、リティの身体が光に包まれた。
〈面白い。まさか、魔法とはな……〉
不気味に笑う影に、ギルは鋭い目を向ける。
「違うな。リティは魔法じゃない。リティは、--俺の女神だ」
その言葉とともに、ギルの身体から魔力が発せられた。
その発生源は、ギルの心臓である。
「アイム。お前を狩る」
〈やれるものなら、な〉
そして、ギルが飛び上がった。刀を振る。
「〈アザゼル〉、奴に天罰を」
ギルの背後に、ほのかに男の姿が浮かび、刀が光る。
「バック・ギルティ」
次の瞬間、影--アイムは弾け飛び、後には崖となった山頂が残った。
ギルは空を見上げ、刀を直し、足元に落ちている石を拾った。
「赤いな……炎か?」
ギルは石を見ながら、問いかけた。……が、待っていた声は聞こえない。
「リティ?」
しばらくして、気づく。
「戻っておいで」
瞬間、光が宙を舞い、ギルの目の前に少女が現れた。
「また忘れましたね?」
「いやー、ごめんごめん」
むぅっと頬をふくらますリティに、ギルは頭に手を当てた。
「で、石の色でしたっけ?」
「うん」
「赤いですね」
「うん」
「炎です」
「へー」
「アイムは、蛇に乗り、建物に火をつける悪魔です」
「悪いね」
「だから狩ったんでしょう?」
「うん」
一通り問答が終わると、ギルはリティに向かって手を伸ばした。
「今日もありがとう。リティ」
リティの白い肌に指を滑らせ、ギルはどこか寂しげな笑みを浮かべた。
赤い石を袋に入れ、リティの手を握る。
「行こうか」
「はい」
少年と少女は歩き出した。
まだ見ぬ地へと向かって。
これは、とある少年と少女の冒険の記録。
誰にも知られず、しかし後に伝説となる、二人の冒険--。
コメント
2件
ありがとうございます! こんなにうれしいコメントがいただけるなんて、昇天しちゃいます(笑)。がんばります!
まほろさん、第1話読ませてもらいました〜! 白い髪に眼帯のリティ、めっちゃビジュアル好みです🥀 ギルが「リティは魔法じゃない。俺の女神だ」って言うところ、重い執着っぽくて好きだなあ…「戻っておいで」で一度消えてまた現れる感じ、リティって本当に人形みたいな存在なのかなって気になって続きが気になります! まだ序盤だけど、二人の関係性の闇っぽい部分ももっと見たいです🌙
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