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ナチス→ポーランド
空は高く晴れていた。夏のように明るい日差しの下で、僕は草の上を駆け回っていた。
🇵🇱「あははっ!気持ちいい!」
風が頬を撫でるたびに笑い声がこぼれる。
こんな日々が、ずっと続くと思っていた。
でも――その日の午後。
卍「……ポーランド」
背後から低い声が落ちてきた。
胸がドクンと跳ね、僕は立ち止まる。
振り返ると、整った軍服に身を包んだナチスさんが立っていた。
背筋を伸ばし、冷たい光を宿した瞳で僕を見つめている。
🇵🇱「……な、ナチスさん……?」
思わず声が震えた。
慌てて笑顔を作る。怒らせたくない。
僕は小さく頭を下げた。
🇵🇱「えっと……どうか、したんですか……?」
ナチスさんはゆっくり歩み寄る。
足音が近づくたびに、僕の心臓はどんどん早くなる。
卍「君はいつも元気に走り回っているな。いや、別に怒っているわけではないんだ」
彼は淡々とそう言い、肩に手を置いた。
その仕草は優しいようで、逃げられない檻みたいだった。
🇵🇱「……そ、それは……」
卍「だが、危うい。君のように幼く、無垢で、美しいものは……簡単に奪われるからな。それに君は、自分のことだと自覚していない 」
声は穏やかで、耳に心地よいはずなのに――なぜか背筋が凍る。
🇵🇱「……だ、大丈夫です。僕は……」
卍「いいや」
彼は言葉を遮った。
そして、僕の腕をそっと掴む。
それだけの動作なのに、強く縛られた気がした。
卍「君は自分の危うさを知らない。
だから……私が君を守るべき存在なんだ」
🇵🇱「……ま、守る……ですか?」
卍「そうだ」
彼の声は低く、そして確信に満ちていた。
僕が何を言っても覆せないような強さを帯びていた。
卍「君は私の宝だ。だから私のそばにいるといい。 そうすれば、君はずっと安全だ」
……宝。
嬉しい言葉のはずなのに、心臓はバクバクして苦しかった。
🇵🇱「……あ、ありがとうございます……」
口から出たのは震えた敬語だけ。
ナチスさんは静かに微笑んだ。
卍「良い子だ」
その笑顔は柔らかく見えるのに、どこか恐ろしくて。
視線を逸らしたくても逸らせなかった。
⸻
その日から。
ナチスさんは、頻繁に僕の前に現れるようになった。
会うたびに優しく言葉をかけ、僕の頭を撫でる。
けれど、その度に僕は背中に冷たい汗をかいた。
卍「ポーランド、今日も無事でよかったよ」
🇵🇱「……あ、ありがとうございます……」
卍「君が傷つくのは、私は耐えられない。
だから、君の行動は私が見ておくべきだ」
🇵🇱「……えっと……でも……」
卍「心配はいらないよ」
微笑みながらも、瞳の奥は鋭い。
逆らえば、何をされるかわからない。
僕はただ小さくうなずいた。
🇵🇱「……はい」
ナチスさんはその返事に満足したように頷き、また僕の肩を抱いた。
卍「良い子だ。君は本当に素直だな」
その「褒め言葉」が嬉しいと同時に、どんどん息苦しくなっていった。
⸻
夜、眠ろうとしても考えてしまう。
――僕は、守られてるのかな?
――それとも、閉じ込められてるのかな?
窓の外を見上げると、月が光っていた。
けれど、胸の中は重く、どこか不穏な影に覆われていた。
僕はまだ気づいていなかった。
その影が、やがて鎖となり、自由を奪うものになることを。
???「くそっ……もう侵攻し始めたか」
新・連・載!!!!
ではまた!