テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
陽翔はホストだ。出会った時から知っていたはずなのに、ホストという職業に対する先入観のせいで、認めたくなかった。
陽翔はわたしに優しくしてくれて、話していてとても楽しくて、素が出せた。
「彩葉ーー、今日も担当がね」
夏々はいつものようにわたしに担当の話をした。
いつもならなんとも思わないのに、お店の陽翔が気になって仕方なかった。
男の人とロクに話したことのない人生だったから、少し気にかけてくれる陽翔が気になってしまっていた。
好きなんて感情ではないと思っていた。
それでも。
ピコン
「大学終わっていまから出勤準備!」
そんなLINEが心の底から嬉しかった。
わたしだけに送っているなんて思っていないが、多少の特別感は感じていた。
「それまでの2時間だけとかになるけど会えたりしない?」
陽翔からの追いLINEに思わず声を出して驚いた。
会いたい。
わたしの素直な気持ちだ。
今日はこの後真っ直ぐ帰り、少しメイクを直してから向かおう。
髪ももう1回巻き直して、結んでいくのもありかもしれない。
お気に入りのアクセサリーを付けて。
楽しい。
恋しているような感じで、自分が自分じゃないみたいだった。
夏々と解散して急いで陽翔の元に向かうと、陽翔はこちらに気づき、笑顔を見せた。
陽翔は今日あった出来事を楽しそうに話していて、わたしはそんな陽翔のお話を聞くのがとても好きだった。
そんな無邪気な笑顔を誰にも見せないでほしくて、わたしだけのものにしたい、と。
叶いもしないことを願ってみたり。
わたしは陽翔と出会ってから不思議な感情に悩まされた。
やはり陽翔と過ごす時間はあっという間ですぐに2時間が過ぎた。
「そろそろ行くかー」
そう席を立つ陽翔に思わず言った。
「新宿駅まで送ってもいい?」
そんなわたしの発言に驚いた表情を見せる。
「え、良いけど真反対だよね?」
「うん、ただお仕事がんばってねって言えるし、まだ一緒にいたいし」
素直に言える自分がおかしかった。
するとにこっと笑い、こう言った。
「まだ一緒にいられるとからっきー!」
陽翔は手を握ってわたしを引っ張った。
思わずドキッとした。
これが恋なんだ。
生まれて初めての感情に困惑したが、恋というなら説明がついた。
独占欲だって男の人に対して湧いたのは初めてだった。
普通の恋愛だった。
コメント
1件
陽翔の「まだ一緒にいられるとからっきー!」がすごく刺さりました。あの無邪気な笑顔に独占欲を抱く主人公の気持ち、すごくわかる…。「会いたい」って認めた瞬間の高揚感と、これが恋なんだって気づく切なさが絶妙に混ざってて、胸がぎゅっとなりました。次が気になる!
82
春千夜
21
#40✕✕年
#へたくそだけど許して
結月
1,613