それから一週間が経ち、私は王国立図書館に来ていた。
最近、ナージリス語で書かれた小説にハマっているからである。
私はどれにしようかな、と本棚を見ながら歩いていると、人とぶつかった。
「きゃっ。ご、ごめんなさ……って」
私はそのぶつかって転んだ相手に手を差し伸べて驚いた。
その人はくるくると巻かれた赤い髪だったからである。
「ロ、ロンリア嬢?」
そう、彼女だった。
彼女はその美貌を歪ませ、いかにも怒っているという顔をしている。
彼女は私の手をパシンッと叩き、自分で立った。
「フンッ。結構ですわ。あたくしにぶつかるなんて、とんだ度胸をしておられるのね」
私は内心嫌悪しながら口を開く。
「ところで、なぜここに?」
そう、彼女はあまり本を読まなさそうなのだ。
なぜここにいるのだろう。
「お父様の付き添いですわ。お父様が、見たい本があるから一緒にどうだと誘われましたの」
すると彼女は、不適な笑みを浮かべた。
……なんだろう。嫌な予感がする。
「それにしても、あなたのあの気弱なお兄様はご一緒でないですのね」
……まただ。はあ、と私はため息をつく。
「……ロンリア嬢。いい加減にしてください。それに、あなただって気弱じゃありませんか」
「はい?」
彼女は私を睨んだ。
「だって、他のご令嬢の持ち物を盗んでいるでしょう?」
そう、この前の茶会の時、実は見たのだ。
他のご令嬢の鞄に入っていた髪飾りを盗んでいたところを。
ロンリア嬢はすっかり怒ったような顔をして、唇を噛み締める。
「いえ、気弱というより卑怯と言うべきでしょうか」
「いい加減にしなさい!」
彼女は叫んだ。
周りの目が私たちに集まる。
「あんたはあの汚らわしい伯爵家に引き取られていたくせに、卑しいくせに、このあたくしになんて口ぶりを……」
彼女は私を突き飛ばす。
私の背後には階段があった。
……ま、まずい。
私の気持ちに構わず、彼女は私に近づいてまた突き飛ばす。
「あんたの兄は大人にも反抗できない気弱だったくせに」
すると、私の身体が、ぐらりと傾いた。
階段を踏み外したのだ。
「きゃっ」
私は何かに掴まろうとしたが、周りには掴まれるものが何もなく、私の身体は床に叩きつけられる。頭を強くぶつけた。
朦朧とした意識の中でロンリア嬢の方を見ると、「あたくしのせいじゃないあたくしのせいじゃない」とぶつぶつ呟いている。
周りは、他の人を呼ぶ人、ロンリア嬢を責める人、私に大丈夫かと声をかける人に分かれていた。
そんな中、私は意識を手放した。
コメント
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リ、リリアーナ、ちゃん?お、お、おお!己ぇ!ロンリア嬢め!うちのリリアーナちゃんに何をする!?←(勝手にリリアーナちゃんを自分の娘にしてる人)
安心してください。この後ちゃんと二人のイチャラブありますからね。 ……ちょっと先ですけど。