テラーノベル
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恋太郎「無陀野先生!!体術教えて!! 」
無陀野「断る。」
突然だが俺は今無陀野に頭を下げている。これには理由があった。
俺らが助かったあとすぐに決着が着いた。授業の結果は赤チームの圧勝。俺は自分が足を引っ張ってしまったと思いとても悔しかった。
四季「まじか~皇后崎に煽られそう…」
だがその予想は当たらず何も言ってこなかった。多分碇達の仲間思いな行動に好感を持っているのだろう。
恋太郎「改めてごめんねみんな…」
矢颪「はぁ?謝られるとうぜぇな。お前はそんなデケェ存在じゃねぇから勘違いすんな。」
まただ。碇は口は悪いが優しいとこがある。彼のことをもっと知りなくなった。
屏風ヶ浦「大丈夫ですよ、私だって役に立てなかったです……」
恋太郎「いやまじでそれは無さすぎるから!」
優しいみんなに守られてばっかじゃダメだ。俺だって強くならなきゃ。
そこで思いついた。俺はスケートをしていたから身体がすごく柔らかい。I字バランスでも余裕だ。きっと少し難しい動きも出来る。もしかしたら血を使って何か出来るかもしれない。そう思って立ち上がった。
四季「お、おい!急に立ち上がってどうした!?」
恋太郎「いいこと思いついたんだ!無陀野先生に体術教えてもらう!」
碇「お前ほんと馬鹿だな……あいつが相手するわけねぇだろ」
恋太郎「やってみなきゃわからんだろ!また後でなー!」
こうして冒頭に至る。だが碇の言う通り断られた。だがそこで折れるほど俺のメンタルは弱くない。
恋太郎「お願いお願いお願いお願い!!」
無陀野「お前はガキか?初めて会った時はそんな感じじゃなかったろ。」
恋太郎「俺はこんなだよ!受けてくれなかったら俺今日の間ずっとつけ回すからな!!」
無陀野「はぁ…時間の無駄だ。俺はもう行くぞ。」
今逃げられたらまずい。そう思い無陀野の足をがっちりと掴む。俺はいち早く強くなりたいのだ。図々しくとも彼に教えてもらうのが1番だ。
無陀野「ちっ…めんどくせぇな。」
恋太郎「…………無陀野先生はそんなに俺に教えるのいや?」
無陀野「嫌なんじゃない。時間の無駄だからだ。」
その言葉に少しショックを受ける。俺に教えるのは時間の無駄だと言うのか…
無陀野の言うことは妥当かもしれない。自分の子供っぽいところも少し恥ずかしくなった。
無陀野side
さっきから俺は頭を悩まされている。それは目の前にいる俺の生徒のせいだ。そう。入学したばかりの冬麗恋太郎。こいつが俺の悩みの種だ。先程から体術を教えてくれと懇願されている。
恋太郎「……ちょっとくらい付き合えよ。馬鹿馬鹿馬鹿…」
こいつこんな子供だったか?1番しっかりしていると思ったが俺が間違っていたらしい。拗ねると面倒臭いとこがあるようだ。にしてもワガママすぎる気がする。
無陀野「…いいぞ。今ここでやるか?」
恋太郎「えっ!先生まじ大好き無人先生~!!」
こうやってすぐ調子に乗り馴れ馴れしくしてくるとこも子供っぽすぎる。こいつは人を振り回すタイプだな。
無陀野「手短に済ませるぞ。」
恋太郎「ありがとうございます!」
恋太郎が殴りかかってくる。単調な動きだ。まだまだ未熟だ。
そして彼の顔に蹴りを入れようとした。
恋太郎「うわっ!」
すると彼の足がパカッと開き、下にぺたんと座り込む。普段からストレッチをしているのだろう。にしても異常な柔らかさだ。
だが攻撃を辞めるつもりは無い。腹や肩などに蹴りを入れる。
素人の恋太郎は避けきれず腹に蹴りを食らった。
恋太郎「うぇ… 」
無陀野「だから時間の無駄だと言ったろ?」
しまった。結構深く入ったな。折れてなければいいが。
……まさか泣かないだろうな?そこまで子供なわけが………いや、有り得る。あいつは子供っぽいとこ満載だ。泣かれるとさらに面倒だ。
恋太郎「う……」
ゴクリと喉がなる。面倒なことは嫌だぞ。
恋太郎「すっごい…!すごすぎ先生!」
無陀野「………は?」
予想外の言葉にかすかに声が漏れる。
恋太郎「まじでいつもいけ好かないけど!ほんとに強い!いけ好かないけど!!」
恋太郎「お願い先生!定期的に体術教えて!」
正直驚いた。さすがに子供に見すぎたか?
なんだか振り回された気がして疲れた。はぁ、と、ため息をこぼす。
無陀野「わかった。毎週水曜日面倒を見てやる。」
恋太郎「ありがとう先生~~!!」
そう言いながら恋太郎が飛びつこうとした。
俺はこいつに蹴りをお見舞いした。
恋太郎「う”っ!」
無陀野「隙をつかれるな。いつでも警戒しろ。」
恋太郎は不服そうな顔をしたが、その後笑ってお礼を言った。
なぜだか少しだけ水曜日が楽しみになった 。
続く
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